彼氏とうまくいかない原因
電話相談で最も多い悩みは、「彼氏との関係性」です。彼氏とうまくいかない原因は、「信頼関係の構築」「自立・自律」「相手選びをそもそも間違っている」の3つに大きく分けられます。
信頼関係の構築
まず、信頼関係とは、「相互理解と尊重」「信じ合える」「頼れる」ということ。信頼関係ができているから頼れるし、頼ることによって信頼関係が構築されていきます。
「頼る」とは
・話を聞いてもらう(弱さを見せる)
・アドバイスを求める
・専門的知識(得意分野について)を聞く
・小さなお願い(持ってもらう、取ってもらうなど)をする
などが挙げられると思います。
頼るのが苦手、頼れないという人は多いと思います。「相手の負担になってしまう」「申し訳ない」と考えてしまうんですね。
そんな方は、「依存」と「頼る」を分けて考えるといいでしょう。「依存」はすべて丸投げ、自分で問題認識もせず、責任も主体性もない状態のこと。「頼る」は、自分で問題認識をしている、というところに違いがあります。
頼ることにはメリットがあります。みなさんも、頼られたらうれしいですよね。頼られたら応えようと思うし、やさしさが発動されます。そのとき、その人にどれだけ向き合っているかがわかるのです。
では、どう頼ればいいのでしょうか。まずは、相手に対して何を求めているのかを明らかにする「事前準備」が必要です。話を聞いてほしいのか、アドバイスがほしいのか、一緒にいるだけでいいのか。これを明らかにした上で「頼る」、そして「感謝」します。
さらに、「あのとき話を聞いてくれて助かったよ」、「あのときのアドバイスが役に立ったよ」といった「報告、再感謝」をすることで、信頼関係がどんどん構築されていきます。
「頼る」とは、相手のやさしさを引き出し、感謝するきっかけをつくり、相手が自分に向き合ってくれるかどうかを知ることができる、信頼関係を築くためのコミュニケーションです。「頼る」ということにマイナスのイメージの人が多いですが、こうして再定義をして見方を変えると、もっと人に頼りやすくなるのではないかと思います。
自立・自律
次に「自立・自律」ついてです。辞書的な意味でいうと、自立は「他に依存しないで自力でやっていけること」、自律は「自らの規律に従って評価判断行動できること」ですが、僕は、自律の中に自立が入っているのではないかと考えています。
自律とは「内的独立」、つまり意識的なものであって、内側に基準があります。価値観、美学、信条、思想などがあるかどうか。目的や目標を自ら設定できるかどうか。物事の意義や価値を見出せるかどうか。自分の行動を規制できるかどうか。
一方、自立とは「外的独立」で、状態的なものですね。経済的自立、技能的自立、精神的自立の3つがあり、特に恋愛の文脈では精神的自立という言葉がよく使われます。好きなことがあって、他者に依存せずに自分を満たすことができるかどうか。
「好きなことがある」というのはメリットが大きいです。共通の話題が生まれますし、「あのライブに行こう」「映画を見に行こう」などのように、次のデートに発展しやすい。好きなことを語ることは、人間性を知ってもらうことにもつながります。反対に、好きなことがないと、他者に満たしてもらおうと思って依存したり、過度な期待が生まれたりします。
相手選び
相手を選ぶときに大事なのが信用と信頼ですが、この2つにはどのような違いがあるでしょうか。端的にいうと、「条件があるか否か」。信用は条件つき、信頼は無条件。客観的判断か主観的判断かともいえますね。
相手を信用できるかを判断するには、次のような条件が挙げられます。
・距離感の取り方
・言葉づかい、言葉の選び方
・聞き方
・〜しないか(否定、見下し、嘘、暴力)
・言動の一致感
・自己開示
・興味を持ってくれるか
・礼儀マナー
・感情コントロール
・感謝
・責任感
恋愛がうまくいかない人は、感情で判断してしまっています。うまくいかない人ほど、信用という軸で相手を見たほうがいいのではないかと思います。たとえば「〜しないか」という項目がありますが、そういう判断軸を持っていないと気づきにくいもの。夢中なときは、「してくれる」ことのほうばかり見てしまいがちです。
次に生まれるのが、「信用できる=信頼できる」なのか、という問いです。「信用できないのに信頼できる」はありえるのでしょうか。
僕は、信用と信頼は、基本的にはつながることが多いのではないかと思っています。言葉づかいが悪くて暴力を振るう人を「信頼しよう」と思っても難しいように、ある程度は担保されていると思います。
ただし、「信用できないのに信頼できる」は、その関係に歴史的なものがある場合だけ成り立ちます。「約束は守らないし、言葉づかいも悪いけど、それがこの人の特性だよな」という理解があるケースですね。
信用は、「『この人は』大丈夫」という一方的なもの。信頼は、「『この人となら』大丈夫。どんな苦難でも乗り越えていけるのではないか」という自信、つまり双方向的なものといえます。
「期待」と「信じる」の違い
次に、「期待」と「信じる」の違いについてお話しします。期待は「良い結果や状態を期待して、その実現を待ち望むこと」。信じるは「疑わずに本当だと思い込む。疑うことなく頼りとする」。端的にいうと、結果の想定があるか否か。
期待は結果を期待している状況で、信じるは結果を想定していません。
期待というのは「彼はきっと告白してくれるだろう、彼はきっと戻ってきてくれるはずだ、誕生日にお祝いしてくれるといいな」。これは、結果を想定していますよね。
一方、信じるというのは、相手の「願い、価値観、考え方、可能性、背景」などを信じること。「彼には彼なりの考え方があるのではないか」「彼が今この状態になっているのは何かしらの理由があるのではないか」「彼は彼の願いに向かっているのだろう」というもの。図にすると、次のような矢印で表されます。
つまり、「信じる」は相手が正しいと思い込むことではなく、相手の中の正しさを信じるということだと、僕は考えています。