新刊のコラム

母の日だから考えたい。「子どもに心配をかけたくない」と思う親に、子どもができること

5月10日は母の日。お母さんに日頃の感謝をあらわすこの日、例年なら一緒に食事したり、贈り物したりする方も多いでしょう。しかし、新型コロナウイルスは高齢者が重症化しやすいため、お母さんを気遣うがゆえに、今年は直接会わない方も多いでしょう。会えない今だからこそ、親とのこれからのこと、一度考えてみませんか?

あなたが親と会える回数は思ったよりも少ないかもしれない

今年は、新型コロナウイルスの影響によって、母の日にお母さんと会えなかった。そんな人も多いでしょう。

では、あと何回お母さんに会えるのか、あなたは考えたことがありますか?
たとえば、お母さんが亡くなるのが5年後だとします。
離れて暮らしていて年に2回しか親に会わないなら、親と会える回数はあと10回しか残されていません。
そんな風に考えると、親と会って話ができるタイミングは、思っているよりもずっと少ないんです。

親にはいつまでも元気で生きていてほしい。そう考えるのが子どもの心理ですが、残念ですが、いつか親が亡くなる日はきます。

そして、親が亡くなるという現実を前にして、大事なことを話せていなかったことに気づいてしまうのです。

親が亡くなったときに困ること

「親とさよならする前に 親が生きているうちに話しておきたい64のこと」という本では、年間1,000件以上のお葬式に立ち会ってきた葬儀社を営む著者が、親が元気なうちに話しておきたいことを伝えています。

親と話ができていないと、親の死後でトラブルになる場面がある。

葬儀社を営む著者が語る言葉には説得力があります。

著者が目にしたのは、こういった場面です。

・お葬式
故人の意向で家族葬にしたが、親戚から「なぜ盛大に送ってやらないのか」と責められる

・医療
延命措置をするのか、苦渋の選択を迫られる

・お金
親の死後に銀行口座が凍結されたため、葬儀代を肩代わりすることになった

こうしたトラブルは、事前に親と話した上で、親族とも共有しておけば避けられます。
親の死で悲しみの淵にいるあなたに、さらなるストレスがかかる事態は、親御さんも望んでいません。
だからこそ、亡くなってから後悔しないように、親と話しておくべきことを知っておきましょう。

親が生きているうちに話しておきたいこと

「親とさよならする前に 親が生きているうちに話しておきたい64のこと」によれば、親が生きているうちに話しておきたいことは、全部で64あり、大まかに以下の6つに分類されます。

1.身体・心
2.病気・介護
3.お墓・お葬式
4.お金
5.相続
6.実家の片づけ

本を読んだ中で、とくに重要だと感じたポイントをお伝えします。

1.身体・心

親の健康状態を知ることは大切です。
病気の早期発見につながりますし、親の老化を受け入れる準備にもなります。
病歴を確認する、健康診断の結果を一緒に見る、人間ドッグをプレゼントするなど、親の健康状態を常に気にかけておきましょう。

2.病気・介護

親が認知症になったり、脳梗塞で突然話せなくなったりする可能性もあります。
そんなとき、親の代理で判断する人を決めておきましょう。
そして、決定事項は家族みんなで共有し、相談事があるときはきょうだい全員に出席してもらうことで、不要なトラブルが起きないようにすることが大事です。

また、以下の3点をあらかじめ親に聞いておくと、家族の中で役割分担ができます。
・だれに面倒を見てもらいたいか
・だれと暮らしたいか
・だれが心の支えなのか

3.お墓・お葬式

親のお葬式や供養の手がかりとなる、菩提寺、お墓の場所、継承者を確認しておきましょう。
お墓は親のためのもではなく、供養を続ける子どもや孫のものです。
仮に、親が「海の近くにお墓を立てたい」と希望しても、そのお墓を供養するのは子どもたちなので、現実的でない場合はうまく折り合いをつけていきましょう。

4.お金

医療、介護にかけられる費用を把握するために、親の資産を把握しましょう。
かつては銀行口座が気軽に開設できたので、親世代は銀行口座をたくさん保有している可能性があります。資産が眠ったままにならないように、どの金融機関に口座があるのか確認が必要です。

5.相続

遺産相続でもめないように、相続人をあらかじめ把握しておきましょう。
さらに等分できない財産、借金の状況なども知っておくと、あとあとトラブルになりにくいです。

また、親の判断力が鈍ったときのために、親に代わって財産の管理や処分を行う成年後見人についても話し合いをしておきましょう。

6.実家の片づけ

長い間、親が生活をしてきた実家には多くの荷物が眠っています。
実家の片づけは、親が元気なうちに進めておくようにしましょう。
一緒に親とアルバムを見たりして、思い出を共有しながら、少しずつ進めておくと安心です。

親と腹をわって話しにくい人は、まず信頼関係づくりから

「親と話すことが大事なのはわかったけど、親との仲がいまいち」という方もいるかもしれません。
親子といえど価値観はそれぞれですし、血がつながっているからと言って、わかりあえるとは限りません。

そんな場合は、まず4つのポイントを押さえてから、親との対話を深めていくといいそう。

・季節の行事で会うキッカケを作る
・月に一回は電話をする
・介護やお金、お墓などのデリケートな話は第三者を例に出す
・一度にすべて話そうとせず、少しずつ話をする

上記の4つの行動も難しいという方は、極端ですが「親を取引先だと思う」といいそう。
身内だから、「なぜわかってくれないんだろう」と腹がたってしまう。それなら、気の合わない取引先だと思って、割り切るのもひとつの選択肢だと著者は語っています。

なかなか親に会いにくい日々が続いています。こんな時だからこそ、次に親に会えたときに話しておくべきことを整理しておくのはいかがでしょうか。

親が死ぬことを想定して、あれこれ話すのはさみしい気持ちになるかもしれません。
だからといって、大事な話題をさけていたら、親の死後にあなたが困りますし、親はそれを望んでいません。
「子どもに迷惑をかけたくない」と思っている親に、子どもができることは、重要な話題を後回しにせず、親と話すことだと思うのです。

(文:池野 花)

(画像提供:iStock.com/RNayomiee/yattaa)

この記事は、”親とさよならする前に 親が生きているうちに話しておきたい64のこと” 清水晶子(著) の新刊コラムです。


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