仕事ができる人がやっている「圧倒的に結果が出るアウトプット術」

本を読んだり、セミナーを受講したりして「インプット」を頑張っても、「アウトプット」の方法を間違えていると思うような成果は出せません。書籍「学びを結果に変えるアウトプット大全」より、圧倒的に結果が出るアウトプット法を一部ご紹介します。

できる人ほど、アウトプットを重視している

圧倒的に結果を出し続けている人は決まって、インプットよりアウトプットを重視しています。知識を詰め込むインプットの学びだけでは、現実は変わりません。インプットをしたら、その知識をアウトプットする。実際に、知識を「使う」ことで脳は「重要な情報」ととらえ、初めて長期記憶として保存し、現実にいかすことができます。これが脳科学の法則です。
「小、中学校の頃は、教科書を読むだけで内容を記憶できた!」 という人もいるでしょう。スポンジが水を吸い込むように記憶し、 経験として蓄積できるのは、せいぜい 20 歳まで。
20 歳を超えると、神経ネットワークの爆発的成長は終了します。 アウトプット中心の学びに切り替えないと、まったく記憶に残らないし、経験値として積み上がりません。私の調査では、約9割のビジネスマンは、インプット中心の学び方や働き方をしています。つまり、効率が非常に悪い。9割の人たちは、大切な時間とお金を無駄にしているのです。

昨日の出来事を話すのも、立派なアウトプット

「アウトプットが苦手」という人は、どんなアウトプットからスタートすればいいのでしょうか?まずは、「話す」ことから始めましょう。「話す」ことが、最も簡単なアウトプットです。「昨日、こんなことがあってさ」と昨日の出来事を友人や同僚に話す。これも立派なアウトプットなのです。読んだこと、聞いたこと、自分が体験したこと。それについて、 第三者に言葉で話してみましょう。
たとえば、「昨日、読んだ本に書いてあったんだけど……」という話を、家族にして、友人にして、後輩にする。1週間以内に 3 回、本の感想を人に話すことができれば、アウトプットの法則である「2 週間に3 回使った情報は、長期記憶される」を楽にクリアできます。 脳内にある情報、あなたの考え、思考、想いなどが、言語化されて外界へ吐き出される。ただ「感想を話す」だけで、脳は活性 化し、記憶の増強、定着にも大きく貢献するのです。

本を読んだ感想、映画を観た感想、テレビ番組を見た感想、スポーツの試合を見た感想、おいしいものを食べたグルメ感想。何から始めてもいいので、まずは「感想を人に話す」ことからアウトプットをスタートするといいでしょう。
「感想を話す」ときのコツは、「自分の意見」「自分の気付き」をひとつでいいので盛り込むことです。よくSNS で「話題のラーメン店に行きました!」という投稿がありますが、それがどんな味で、おいしいのかおいしくないのか。肝心な感想が書かれていないものが多いのです。

開始前の質問が、学びの方向性を決める

「質問する」というのは最も簡単で、最も効果的なアウトプット法のひとつです。それも、「他人に質問する」のもいいですが、「自分自身に質問する」だけで、脳は圧倒的に活性化し、必要な情報を集めてくれるのです。アフリカの首都を記憶させる研究では、事前に 5 択問題を受けたグループと、従来の暗記形式で勉強したグループにわけます。 翌日にどれだけ記憶しているかを再テストしたところ、「事前テスト」のグループは、10 ~ 20%も高い得点をとったのです。 テストや問題を解くことが、勉強や記憶に役立つことは知られていますが、まだ勉強していない事柄を、質問してから勉強するだけで、記憶効率が大幅にアップするのです。
私のセミナーでは、必ず開始前に簡単なアンケートに答えてもらいます。たとえば、「アウトプット力養成講座」のときは、「あなたが、アウトプットに関して、最も悩んでいることは?」などと質問をして、参加者全員に記入してもらいました。これから始まるセミナーで、「自分が何をいちばん学びたいか?」を自分に質問することで、その内容に注意が向くようになる。話の中で関連する内容が出たら、「それは、自分の知りたかっ た内容だ!」と集中力が高まります。
たとえば、ビジネス書を買ってきて読む場合には、読み始める前に「自分はその本から何をいちばん学びたいのか?」を自分に質問して、紙に書きましょう。結果として、あなたが学びたいことがしっかりと吸収され、記憶に残りやすくなるのです。 勉強を開始する前に、たった 10 秒、「何を学びたいか」自分に質問するだけ。それだけで、学びの効率が大幅にアップするのです。

「意味記憶」から「エピソード記憶」に変換

アウトプットが苦手という人は、説明するのが苦手だと思います。逆にいうと、人に説明することは、アウトプット力を鍛える恰好のトレーニングになります。さらに、説明することによって、圧倒的に記憶に残りやすくなります。
たとえば、三角形の面積の公式は「底辺× 高さ÷ 2」ですが、「なぜ底辺×高さ÷ 2 なの か説明してください」 といわれたら、小学生レベルの問題ですが、 意外と難しいですよね。

「まず、三角形を含む長方形を書きます。三角形の頂点から垂直に線を下ろします。そうすると、左側と右側 に面積の等しい三角形が 2つあらわれました。だから、長方形の面積『底辺×高さ』を 2 で割ると三角形の面積になるのです」

このように説明できると、三角形の面積の公式は絶対に忘れないでしょう。
説明によって、「意味記憶」が「エピソード記憶」に変換されるので、圧倒的に記憶に残りやすくなります。「意味記憶」というのは、英単語「apple =りんご」の組み合わせのように、関連性の薄い組み合わせのこと。「エピソード記憶」というのは過去にあった出来事や体験、つまり物語、ストーリーとしての記憶です。「意味記憶」は覚えづらく忘れやすい、「エピソード記憶」は覚えやすく忘れにくいと科学に裏付けられた、伝わる話し方いう特徴があります。説明することで、相手の理解も深まり、相手の記憶に定着するだけでなく、説明した自分の記憶にも圧倒的に定着しやすくなる。「説明する」ことは、最高のアウトプットのトレーニングであり、 脳のトレーニングにもなるのです。

「ぼんやり」が脳の働きを活性化する

「今日一日、何もしないでぼーっとして過ごしてしまった」という投稿を、SNS のタイムラインにときどき見かけます。現代人にとって、「ぼーっと過ごす」のは、「時間の無駄」と考える人が 多いようです。「ぼーっとする」こととアウトプットは無関係だと思うかもしれませんが、実は、「ぼーっとする」時間は良質なアウトプットのために必須の時間といえるのです。

最近の脳科学研究で、「ぼーっとする」ことの重要性が証明されています。特になんの作業もしていない「ぼーっとした状態」「ぼんやりした状態」のとき、脳内では「デフォルトモード・ネットワー ク」が活発に稼働しているのです。 デフォルトモード・ネットワークは、いうなれば「脳のスタンバイ状態」です。このスタンバイ状態において、これからの自分の身に起こり得ることをシミュレーションしたり、自分の過去の経験や記憶を整理・統合したり、今の自分がおかれている状況を 分析したりと、いろいろなイメージや記憶を想起させながら、脳内で「自分のこれからをよりよいものにしていくための準備」を整えているのです。

デフォルトモード・ネットワークが稼働する時間が少ないと、 前頭前野の物事を深く考える機能が低下します。結果として、注意力、集中力、思考力、判断力、記憶力、ひらめきなどの想像力などがすべて低下し、脳の老化も進みやすくなります。「ぼーっとしている時間」がもったいないと、暇な時間にスマホ、 ゲーム、テレビに時間を使う人が多いですが、脳を絶えず使い続けることは、デフォルトモード・ネットワークを妨害し、脳を疲れさせ、脳の働きを退化させる原因になるのです。 たまには、何もしないでぼーっとする時間を持ちたいものです。

 

(画像提供:iStock.com/scyther5/jacoblund/imtmphoto/PeopleImages/milanvirijevic)

この記事は、”学びを結果に変えるアウトプット大全”樺沢紫苑(著)の新刊コラムです。


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