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「自由人3.0」リンダマンが語る、ライフハック的な生き方/林田真一

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普通の仕事から起業に成功し、たくさんの夢を叶えた元コンサルタントが、今の世界のリアルな経済状況や最新テクノロジーのトピックを共有。そして、最新情報を踏まえたうえで、具体的な「自分を変える方法」をお伝えします。

1.幸福とは何か?

(1)「どこから情報を得るか」で人生が決まる

健康か不健康か、成功か失敗か、幸福か不幸か。
人の人生は、紛れもなく「何を選択したか」で決まります。そしてその選択は、「どこから情報を得るか」で決まります。
みなさんの情報源は、今だったらSNS、テレビ、ラジオ、雑誌、友達、このぐらいでしょう。でも、もしそんなところに人生を変える情報があったら、とっくに人生は変わっているはずです。

アメリカのプリンストン大学の調査によると、「年収750万円までは、収入が上がれば上がるほど幸福感も上がり、1000万円以上になると、どれだけ稼いでも幸福感は変わらない。収入とともに上がるのは満足感だけで、お金と幸せは比例していない」ということがわかったそうです。
でもみなさんは、満足感より幸福感がほしいですよね?

それでは、幸福とは何なのでしょうか。
幸せとはエクスペリエンス、つまり「経験」です。一生幸せを勝ち取りたいなら、経験を積み上げ続けることが重要です。うまくいかないこと、やったことがないこと、そして失敗……これらを避けて通っていると、安定はしているけど、そこに幸福はありません。
この前、鳥肌が立ったのはいつですか? 見たことのない景色や、聴いたことのない音楽に感動した経験、最近ありましたか? いわゆる「アハ体験」というものですが、これを人生で何回したかが大切なのです。

(2)「モノ」より「コト」に価値がシフトしている時代

今の時代を数字で表すと「10/10」、つまり「やりたいこと」と「叶っていること」の分子と分母が同じ状態です。夏はクーラーも効いているし、裸の人や、のたれ死んでいる人も見かけない。実はみんな幸せです。
でも、世の中には、おもしろいことがいっぱいあります。分母が増えて10/100になれば、90足りないことになる。これを埋めようとするのがモチベーションです。

今、世の中の価値観は「モノ」から「コト」に変わってきています。ブランドバッグではなく、新しい経験に価値がついているのです。
だから私は、特に若い人には旅を勧めています。仏教に「人生は無知を知に変えていくことである」という言葉がありますが、知らないことを知っていくのが人生なのです。

自分にも、行きたいところがたくさんあります。世界遺産は全部で1052あり、1年に10個まわっても105年かかる計算です。最近では、トルコのカッパドキアで、気球からの景色に涙が止まりませんでした。「俺、景色を見て泣けるんだな」と改めて思いました。
夢を聞くと、日本人はほとんどの場合、仕事について答えます。でも、人生最後の1日まで働きますか? もしそれでも「働く」と答えるとしたら、知識が足りないと言わざるを得ません。「大人ももっと遊ぼうよ」と言いたいですね。

2.世界の現状を知ろう

(1)世の中の「常識」が変化してきている

世の中の仕組みがものすごい勢いで変わっています。現在の日本は、明治維新と同じぐらいの状況と言ってもいいでしょう。

カードを使わずにスマホでお金が下ろせるようになります。子どもの数が減っているから、教職員も大幅に削減されるでしょう。オリンピックまでに、車の自動運転も実用化される見込みです。
ヤマト運輸は、無人で宅配を行う「ロボネコヤマト」というサービスの実証実験を神奈川県藤沢市で開始しました。いずれ、宅配の仕事に従事する人がいなくなるかもしれませんね。
韓国では、死んだペットのクローンを1頭1000万円でつくってくれるサービスがあるそうです。ドバイには無人ドローンの「空飛ぶタクシー」があるし、FacebookはVRを利用した画期的なサービスを始めました。このように、みんなの常識や道徳、倫理感は3年ぐらいで変わってしまうものなのです。

2016年に開催された世界経済フォーラムでは、2020年までに地球上で500万人が失業するという見解が発表されました。これからは、ビッグデータ、再生エネルギー、IoT、人工知能やロボットによる自動化が急激に発展していくことで、人でなくてもいい分野がどんどん増えていくのです。
高校時代の頭で止まっている人は、仕事なんてすぐになくなってしまうでしょう。「資格を取る」と言っている方、取ったところでその資格は今後どうなるでしょうか。

ポイントは、「何を知っているか」ではなく、「誰を知っているか」。ハーバード大学のブログのある記事によると、「友達がいない人は、タバコを吸う人より病死リスクが高い」そうです。
友達がいないのは、死んでいるのと同然。機械でできる仕事は全部取られるのですから、友達とのコミュニティを大事にしたほうが賢明です。

(2)格差という現実

上の図を見てください。日本に億万長者は100万人います。31人に1人が5000万円以上の資産を持っている一方で、年収300万円以下の人も増えている。まさに二極化です。同じ義務教育を受けていて条件は一緒なのに、収入が違うのはなぜなのでしょうか。
たとえば、あるメダリストの柔道家の年収は600〜800万円だそうです。一方で、お相撲さんは横綱になると1億8000万円。選んだ競技が違うだけで、ゴールがかなり変わってきます。
つまり、入口ではなく、出口を見ていますか? ということです。目先の「働きやすいか、人間関係はどうか……」といったことで仕事を選ぶのではなく、「10年後どうなるのか」で見てください。
見方は簡単です。その職場の10個上の先輩を探してみましょう、それがあなたの10年後です。いや、機械化が進んでもっと悪くなっているかもしれません。

(3)税金に興味がないのは、家族に興味がないのと同じ

日本は、国として1066兆円の借金を抱えています。赤ちゃんも老人も関係なく、1人あたり約840万円の借金を背負っている状態です。
消費税が3%上がって8%になりました。月に20万円使う人なら、毎月1万6000円、これが12カ月で年間19万2000円を支払っていることになります。まさに、1カ月分の給料が消えてなくなっている計算です。
今後また消費税が上がって10%になります。2070年には、消費税がなんと53%になるとも言われています。1万円の買い物に、1万5300円を払わなくてはいけないのです。
また、年金を払っていない若者が多いから、預金を凍結するという話も出てきました。マイナンバー制度も始まり、国も本気です。

日本が衰退した理由は人口減です。2053年には1億人を割り、65年には4割が高齢者になると言われています。これからは、1人の若者が2人の老人を支えていかなくてはなりません。
このような状況の中、税金に興味がないのは「家族に興味がない」と言っているのと同じことです。

高額医療や特定疾患もどんどん保険から外されており、病気になれば医療費がかかります。健康に対する意識や知識=ヘルスリテラシーを上げていくのも必須事項と言えるでしょう。

(4)「複業」がスタンダードになる時代

船井総研が、日本の労働人口の49%が人工知能かロボットで代替可能だという調査結果を発表しました。日経新聞でも特集が組まれ、医師の29.2%、旅行ガイドの36.0%、トラック運転者の64.6%の業務が代替可能だという記述がありました。
2020年には、電車の運転手、レジ係、プログラマー、郵便配達員、交番の警察官、金型職人、一般事務など、多くの仕事がなくなるとされています。

では、どのように働けばいいのでしょうか。私は仕事が好きですが、「仕事」という漢字は嫌いです。人に仕えているわけではないのだから、「志事」と書くべきではないでしょうか。
「志」、つまり目的を持って働くことが重要です。

ピーター・ドラッカーはこう言っています。「最初の仕事はくじ引きである。最初から適した仕事につく確率は高くない」。しかし、20代の人と話すと、「“天職”を決めるのが早すぎないか?」と思うことが多々あります。
世の中には3万業種あると言われていますから、いろいろやってみて、「これが天職かも?」ぐらいでいいと思います。

政府が副業・兼業禁止規定を年度内にもなくす方針を固めたと、2016年12月の日経新聞に載っていました。「この国ではひとつの仕事では食べていけないから、副業をしなさい」と国が言っているんですね。
都内のあるIT企業では、「専業禁止」を謳い、休みの日には他社へインターンシップに行き、人脈とスキルを会社に持って帰ってくることが奨励されているそうです。ひとつしか仕事をしていないと「あなたはリテラシーが低いね、情報を取ってこられない人は辞めてくれ」となるとか。
今に、「副業」という言葉もなくなるでしょう。「複業」、つまりデュアルであることが普通になっていくはずです。

(5)夢を叶えるために必要な「お金」の話

夫婦2人の60歳以降の生活費として、約1億円が必要だと言われています。今あなたが25歳ならば残り35年の間、月に23万8000円、30歳ならば毎月27万7000円、40歳は毎月41万6000円を貯めないといけない計算です。これを聞いて、どう思いますか?

ライフハックというのはつまり、「若くて体力があるうちにガッツリ稼いでおこう」ということ。若いうちに稼いで、老後はまったり、やりたいことをやればいいじゃないという考えです。

3.「3.0」世代に伝えたい、これからの生き方

(1)必要なのは「1歩を踏み出す力」

『アナザースカイ』や『情熱大陸』など、何かを成し遂げた人のヒストリーを追うテレビ番組があります。これらを見ていると「メンタル強すぎ、俺とは違う世界の話だ」と引いてしまうことがありますが、俗に言う「メンタルの強い・弱い」は存在しないそうです。あるのは、物事をどう捉えるかの、価値観の違いだけ。

成功する人に必要なのは、基本的にはたったひとつの要素です。それは、恐怖と対峙したときに、たった一歩を踏み出す力があるかどうか。やったことのないことを「やってみよう」と思えるかどうかです。
1回やってみて、ダメならやめればいいのです。やってみることもせず「無理だと思います」とあきらめるなんて、「お前は超能力者か」と思います(笑)。
1日1歩でも、1年で365歩。365歩と0歩では大きな違いです。成功している人を見るとどうしても「あいつは金があるからだ」「もともと頭がいいんだ」と思ってしまいがちですが、そうではありません。
違いは「小さなことに大いなる価値を見出す力」、つまり小さな1歩を踏み出せるかどうかなのです。

(2)「3.0」世代のモチベーションとは

あなたは何をしに生まれてきたの?」。この問いに答えられますか?
答えがないのは、マラソン大会で言うと、方向も距離も期限も決まっていないのに走り続けているようなもの。だから、この質問に対する自分なりの答えを持ちましょう。あまり考え込まず、インスピレーションで決めたほうがいいです。

今、20代の子に「あなたの夢は何?」と聞くと、みんな「自由になりたい」と言います。でも、自由とはバリ島でダラダラ暮らすことではありません。自由とは、自分で選べる幅が広いということです。
今の若い人は、仕事が嫌いな人はいません。ただ、上からごちゃごちゃ言われるのが嫌い。そして、お金では動かない。上の人に殴られて「この野郎」と思うことがモチベーションになることもない。むしろ、すぐにパワハラで訴えることでしょう。
この「モチベーション3.0」世代の「にんじん」、つまり働く動機になるのは、仲間と旅、そしてコントリビューション=社会貢献です。

「私は何をしに生まれてきたのか」の問いに答えられないから、せめて人の役に立ちたいと思うのでしょう。ボランティアに行く若者も多いですよね。でも、ボランティアに行くのにもお金がいる。これらを成し遂げるためには、やっぱり経済力が不可欠なのです。

(3)「お金」と「自由」を手に入れるための働き方

これからの働き方として欠かせないキーワードが、働く場所や時間を問わない「ノマドワーク」。
プログラムはインド人、インターフェースはベトナム人、ライティングは岐阜の人……といったように、ネット上でスキルを集める「クラウドソーシング」、そして、出勤せずに仕事をする「リモートワーク」です。

今の人は、お金で幸せになれないということを知っています。「欲がない」と言われる「草食系」という考え方自体、古いものになっています。前述のとおり、価値の比重は「モノ」から「コト」に移っており、旅に出て、友達と思い出をつくることのほうが大切なのです。

お金で幸せにはなれないけれど、お金は必要。英語圏を旅すると、「ファイナンシャルフリーダム」という言葉をよく耳にします。これは、不動産の家賃収入など不労所得が毎月の生活費を上回っているため、資産が減少することなく、精神的な不安から解き放たれ、自由を勝ち得た人のことを指すそうです。

お金を得るための「収入」には3種類あります。まずは「労働収入」、これは会社に行けばもらえる安定した収入のことで、衣食住にいちばん向いています。
そして、土日に遊んでいる暇があったら「成果収入」の獲得を目指しましょう。おすすめなのは「メルカリ」。稼ぐことよりも、商売の感覚を養うのが目的です。写真やタイトルのつけ方、買い手との交渉などで感覚が磨けます。
そして3つ目が「資産収入」。印税、ロイヤリティ、権利収入とも言われます。これは、体が動かなくなる50歳以降で始める人が多いのですが、みなさん「もっと早くやっておけばよかった」と思うようです。

やりくりというのは、収入から支出を差し引き、その残りが資産、使いすぎれば負債となっていきます。でも、これは収入という枠の中の話。「稼いで、なくなる」の繰り返しから脱したいのであれば、枠を広げればいいのです。稼いだお金を資産に変える、つまり投資行動です。

とはいえ、何も私は「株を始めよう」などと言いたいわけではありません。
若いみなさんにまずお伝えしたいのは、「時間ぐらい投資しようよ」ということ。私が推奨しているのが「24時間分割意識生活」。1日24時間のうち、仕事が8時間、睡眠が6時間、食事や身支度など生活に関することに3時間、これは削ってはいけなせん。
でも、残り7時間は誰でも確保できるのです。7時間あれば、毎日映画を3本見ることができます。この時間を意識すれば、人生を2回楽しんでいる計算になります。これは、努力ではなく意識の問題です。

(4)人生を最高にする3つのポイント

ここからは、人生を最高にする3つのポイントをお伝えします。

まずは「質問力を上げる」です。
フェラーリを買う方法を考えてみてください。「死ぬほど働く」「盗む」「宝くじを買う」など、いろいろな答えが出ると思いますが、いちばん確実なのは「買った人に、どうやって買ったかを聞く」ではありませんか?
坂本龍馬には勝海舟、伊藤博文には吉田松陰と、偉業を成し遂げる人には必ずメンターがいたように、「考えないで(誰かに)聞く」というのは、成功に至る道筋として、とても大切なのです。そのために、知りたいことを知るための「質問力」を磨きましょう。

2つめは、やったことがないことをやる=「ないやる」です。いつもの仕事、いつもの彼氏、いつもの食卓は心地がよいものですが、人生最大のトラップがここにあります。最高な人生にしたいのならば、そこに安住していてはいけないのです。
起業する、転職する、しょうもない恋人と別れるなど、新しいことをしようとすると、不安でいっぱいになります。でも、この不安が、「うまくいっている」サインなのです。
筋トレと一緒で、負荷をかけないと新しい筋肉ができないように、人も成長できません。安住の地からはみ出し、ストレッチゾーンに足を踏み入れると、心臓が急にバクバクして拒否反応が出ますが、それでいいのです。
最高、ベストはそこにこそあります。失敗のない人生を送っている人は、人生を失敗します。

そして、3つめが「今やる」です。人によって価値観が違うので、「すぐ」ではいけません。「今」やらないと、未来は変わりません。

(5)身を置いた環境で、結果が変わる

複数のメトロノームを同時に動かすと、何分かするとすべてのメトロノームが同期し、一定の動きをするという実験があります。しばらくすると環境に馴染むというのは人間も同じであり、「どのメトロノームに入るか」が重要なのです。
志を上げてみましょう。はじめは、新しい環境に違和感もあるでしょうが、しばらくすると同期している自分に気づくはずです。

松下幸之助は、「成功とは成功するまで辞めないことである」と言いました。未来の自分と遭遇するには、誰かと「会う」だけでなく、「会い続ける」ことが大切です。同様に「見続ける」「聞き続ける」「行き続ける」こと。
ちなみに、「決意を新たにする」というのは、最も意味がありません。本当に変えたいのなら、「今度こそ」ではなく、「今すぐ」に動いて、環境を変えてしまうべきなのです。

まずは、タイムマネジメントから始めましょう。手帳に、赤でプライベート、黄色で仕事、青で新しいことに費やす時間を書き出し、少しずつ青の時間を増やすようにマネジメントしていきましょう。

 

(画像提供:iStock.com/pixdeluxe)


林田真一(リンダマン)
神奈川県川崎市で生まれ町田育ち、小学生で株を買い14歳で起業。
「インドに学校を創りたい」と飲み会で直感的に思い、2011年インド学校建設を支援。BOPビジネスの可能性と使命感に気づき、"英語は話せないけど世界でビジネスをしながら輪を広げていく"と決断。過去に1000回以上、年間に100講演”自分らしい自由な生き方”を軸にスピーチ。一度しか無い人生を最高に生きていく楽しさや、価値観を共有していく活動を世界で配信。

現在は東京を拠点に、世界を旅しながら仕事をするノマドワーカー。自分自信が混沌としていた人生から抜け出した時に、沢山の先輩や成功者から学んだ事を共有していくことを使命とする。「1人でも多くの人に自分らしく生きる事の素晴らしさを知ってもらいたい」と、セミナー・イベント・講演会を全国で主催。ロータリークラブメンバーに社会貢献活動にも力を入れカンボジアに学校建設を予定。2015年には「自由人3.0」を出版し発売後2週間で1万部を突破しベストセラーに。

オフィシャルサイト
http://lindaman.site/

 



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