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男女ともに使える! カッコいい体を作るための7つの筋トレメソッド/久野圭一 @hisano1012

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注目のマッスル競技「フィジーク」で世界選手権5位、パーソナルジム『KEY FIT』を経営するトレーナーの久野(ひさの)圭一さん。彼が提唱する、初心者〜中級者向けの7つの筋トレメソッドとは? 正しく鍛えてカッコいいボディになりたいみなさん、必見です。

カッコいい体を手に入れるための必須トレーニングとは?

トレーナー歴13年、10代から80代まで幅広い世代を指導している僕が実感しているのは、「筋肉のつき方は個人差が大きい」ということ。少しのトレーニングで信じられないくらい筋肉がつく人もいれば、あまりつかない人もいます。

一方で、全員に共通するルールも存在します。今日は初心者〜中級者向けに、男女ともに使える筋トレメソッドをご紹介しますので、強くカッコいい体を目指す人はぜひ参考にしてください。

① 全身をくまなく鍛える

筋トレのベーシック6

筋トレは、鍛え残しのないように全身をくまなく鍛えることが重要。そのための6つの基礎をお伝えします。普段のトレーニングでこの6つが欠けていないかチェックしてみてください。これらを網羅したうえでプラスアルファのトレーニングをするのはOKです。

1. 上半身ホリゾンタルプレス
水平面に押すトレーニング。ベンチプレス、ダンベルベンチプレス、パラレルグリップダンベルプレスなど。

2. 上半身バーチカルプレス
上方向に押すトレーニング。フロントプレス、バックプレスなど。

3. 上半身プル
上から下に引っ張るトレーニング。プルアップ(順手での懸垂)、チンアップ(逆手での懸垂)など。

4. 肩のオープンキネティックエクササイズ
末端が固定されるクローズキネティックチェーンは骨に対して縦軸方向にウエイトがかかるエクササイズ。クローズドキネティックは骨に対して縦軸方向にウエイトがかかるエクササイズ。でもそれだけだと逆三角形の大きい肩を作ることはできないので、サイドレイズやフロントレイズで三角筋を鍛えます。

5. 下半身プレス
下半身で押すトレーニング。スクワット、レッグプレスなど。

6. 下半身プル
下半身の筋肉で引く動作をするトレーニング。デッドリフト、ヒップスラスト、ハイパーエクステンションなど。

② 重要なのは重さや回数より「ROM」

ROM(関節可動域)を広げる

筋肉を大きくするためには、バーベルの重さや回数よりも「ROM」を重視することが大切。ROMとはRange of motionの略で、関節可動域のこと。広い可動域で筋肉を動かせば、ウエイトが軽くても鍛えられるということです。

100kgのベンチプレスでも、胸まで下ろさずに少し動かしただけでは効果は減る可能性があります。上腕二頭筋を鍛えるプリーチャーカールも、バーベルを重くして狭い範囲でやるより、少し軽くして大きく持ち上げたほうが肥大はしやすいと思います。

スクワットはしゃがみこむ深さによって名称が異なり、太ももが床と並行になるくらいまでしゃがむとパラレルスクワット、それより浅いとクォータースクワットと言います。クォーターは脚の一部にしか刺激がいきません。刺激が行き届かない部位が出てくるため、脚全体が大きくならないのです。

反対にパラレルスクワットは脚全体が肥大します。そこまでの重量を扱えないので、関節への負担も減らせます。クォータースクワットで追い込むにはかなり重い重量が必要になりますがあまり良い方法ではありません。コントロールが効かないし、ケツも使えないし膝や腰の負担も増える可能性があります。変に重さにこだわらず、軽くしてパラレルかそれより深くまでしゃがむようにしましょう。

筋肉を大きくする3刺激

1. 張力
これは「どれほどの力で筋肉を働かせたか」ということ。大きなROMのフォームで、可能な限りの高重量を扱えるトレーニングを選ぶことが重要です。僕は大胸筋が発達しやすいのですが、ベンチプレスのほうがダンベルプレスより重量を使えるのでベンチプレスを採用しています。筋肉が大きい人は必ずと言っていいほど、高重量を使ったトレーニングをしていた経験があります。

2. 筋損傷
高重量を扱うと筋肉が損傷し、ダメージが回復することで元の筋肉以上に太くなる。これが筋肥大のメカニズムです。しっかり効かせるには、ウエイトを持ったままストレッチをすること。たとえばサイドレイズだけでは三角筋がストレッチされませんが、片手をベンチについて体をななめにもたせかけ、もう片方の手でダンベルを上げ下げすると、ウエイトとストレッチ両方による刺激を与えられます。

3. 代謝ストレス
トレーニングで体に負荷をかけると、血が酸素とともに筋肉に送りこまれますが、圧迫されているため出ていきにくくなります。するとその部分がパンパンに張り詰めて、焼けつくように痛くなります。筋トレ界では「効かせる」、英語では“burns”や“burning”と言ったりしますが、その「効かせる」までやるのがポイント。代謝ストレスに反応して、筋肉がつくホルモンも分泌されます(ホルモンだけが筋肉を増やすのではありませんが)。

③ マシンよりフリーウエイト

僕はあまりマシンを使いません。『KEYFIT』に置いているのも主にバーベルとダンベルです。
筋肉を構成する筋繊維が走る方向を「走行」と呼び、筋繊維走行と運動方向は同じほうがトレーニングの効率が上がります。ですがマシンは動き方が決まっているので、自分の走行に合わない場合は効率が悪くなるのです。

たとえば脚の筋肉は、スクワットとルーマニアンデッドリフトの2種目がおすすめです。レッグプレスは足の裏と上半身が固定されているので、初心者にはあまりおすすめしません。

自分にぴったり合ったマシンや、ラットプルダウンなどフリーウエイトっぽい動かし方ができるマシンであればいいと思います。また、プレスダウンやレッグカールなどマシンでしかできないトレーニングも良いと思います。

④ 限界まで効かせれば、回数問わず肥大する

本当の限界まで追い込むには?

重くして回数を減らすのと、軽くして回数を増やすのとでは、筋肉を大きくしたい場合どちらの方が効果が大きいでしょうか。結論を言うと、めちゃくちゃ効かせることができれば回数は関係なく筋肥大します。例外として、ふくらはぎなどは、かなりの回数を重ねないと肥大しにくい部位です。

ただ、人間は肉体的限界より精神的限界のほうが早く感じるようになっています。30回の場合は数回の余力を残していても限界と感じ、とくに初心者は回数を多くセットを組むと本当の限界の7回手前でストップしてしまうそうです。昔から、筋肥大のスイートスポットは「8〜12回」と言われていますが、これは本当の限界まで追い込みやすい回数ということ。このくらいの回数に適したウエイトでのトレーニングが、筋肥大の近道と言えます。

「筋肥大」と「筋力アップ」は別

「筋肉を大きくすること」と「筋力をつけること」は根本的に別ものです。1回のトレーニングで効かせ切って、効率的な肥大を目指すことも大事ですが、筋力もつけていかなければ何年経っても持てるウエイトが変わりません。そうするといずれ肥大も止まってしまいます。

筋力をつけるには、5回以下くらいしか持ち上げられないほどの重い重量を扱うこと。スイートスポットとは矛盾しますが、並行してやるべきトレーニングです。

⑤ ボディメイクのための「栄養」の優先順位

カッコいい体作りのカギは「筋肉を増やす」ことと「脂肪を減らす」こと。私が意識している栄養関連の優先順位は、「カロリー」「マクロニュートリション」「ビタミン・ミネラル」「摂取タイミング」「サプリメント」の順です。

筋肉にいいものを食べることも大事ですが、もっとも意識すべきは「カロリー」。1日の摂取カロリーは身長・体重や運動量により異なります。僕はいま大会に向けて減量中なので2,000kcalと少なめ。鶏胸肉700g(=700kcal)を中心に、プロテイン、アミノ酸、夕食は米を抜いて野菜やキムチを食べています。

「マクロニュートリション」とは、炭水化物・タンパク質・脂質の三大栄養素のこと。1日に必要なカロリーを達成しても、栄養素が偏っていたらいい体は作れません。炭水化物・タンパク質についてはのちほど詳しく説明しますね。

「ビタミン・ミネラル」も重要です。ビタミンDは欠乏しやすいビタミンの一つですが、日光を浴びると生成されるので、屋外で活動している人はあまり心配しなくて大丈夫かもしれません。

「摂取タイミング」については、気にしすぎの人が多いように思います。炭水化物は速効性のあるエネルギーなので、トレーニング中にバテを感じる人はカーボドリンクやパウダーを摂取したほうがいいかもしれませんが、基本的には元気にトレーニングができれば大丈夫です。

「サプリメント」も僕の中ではそこまで重視していません。効果が明らかにされているものがほとんどないからです。その中で筋トレでオススメできるのはクレアチンでしょうか。100年以上研究されているものなのでいいと思います。

⑥ タンパク質の必要摂取量を把握する

先ほど紹介した「マクロニュートリション」の中でも、筋肉量を増やすのはタンパク質。1日の必要摂取量は体重の1〜2.5倍程度が良いと思いますが、その人の筋肉量でも変わります。筋肉の少ない方は少なくても良いし、筋肉の大きい人なら多めの量が必要でしょう。

タンパク質は太りにくい栄養素でもあります。なぜならDIT(食事誘発性熱産生)量が高いから。栄養素を消化して体に吸収するために必要なエネルギーのことで、タンパク質は摂取エネルギーの約30%。一方、炭水化物や脂質は10%以下です。

つまり、タンパク質は「筋肉を増やす」「脂肪を減らす」うえでとても重要な栄養素。自分に適した摂取量をきちんと把握するようにしましょう。

⑦ 炭水化物はリカバリー用

先ほども言いましたが、炭水化物は速効性のあるエネルギーなので、筋肉を増やす効果はそこまでありません。しかしトレーニング前に摂取してバテを防いだり、トレーニング後に摂取してリカバリーを早めたりするのには効果的です。

炭水化物は太るというイメージがありますが、摂取カロリーさえ気をつければ気にする必要はありません。カロリーがどれくらいかをきちんと把握して摂取することが大切です。

ちなみに、体重を減らしながら筋肉を増やすことは基本的にはできません。初心者なら筋トレを始めたばかりの頃は筋肉が増えやすいので、アンダーカロリーでありながら筋肉が増えることはあり得ます。あるいは、まったく鍛えていなかった部分を鍛えた場合もあり得ます。ですが原則としては体重が減りながら筋肉が増えることは起きづらい。筋肉を増やしたければ体重もある程度増やす必要があります。

ただし覚えておきたいのが、体重と筋肉量は正比例しないということ。筋肉を大幅に増やしたいからといって体重を急激に増やすのはおすすめしません。適切な体重増加量は、一ヶ月に体重の2〜4%程度の増加が目安です。

7つの筋トレメソッド、いかがでしたか?
これから夏に向けて筋トレを始める方も、ふだんから筋トレをしている方も、ぜひ意識してみてください。正しく鍛えて、強くカッコいいボディを目指しましょう!

(画像提供:iStock.com/ra2studio)

久野圭一(ひさのけいいち)

株式会社キーフィジーク代表取締役。パーソナルトレーナー歴13年。一般の方だけでなく多くのパーソナルトレーナーを指導するトレーナー。フィジーク選手として入賞多数、2018年日本準優勝、日本代表で世界選手権8位。