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アーティストにはその人の重ねてきた時間に価値がある
突然ですが、こんな小話はご存じでしょうか?
ピカソが市場を歩いていると、ある婦人が呼び止めた。彼女はピカソの大ファンで、絵を描いて欲しいという。
快諾したピカソは、さらさらと絵を描き上げた。婦人は喜び、いくらなら絵を譲ってもらえるか尋ねた。ピカソはこう言った。
「このスケッチは100万ドルです」
婦人は驚き、高すぎると言った。たった30秒で描いた絵が、どうして100万ドルもするのか尋ねた。するとピカソはこう答えた。
「いいえ、30秒ではありません。私は、これまでに30年もの研鑽(けんさん)を積んできました。だから、この絵を描くのにかかった時間は、30年と30秒なのです」
この話自体は事実ではないそうですが、芸術は作品のみが評価されるわけではなく、そこにたどりつくまでのその人の研究の成果、人生が作品にのせられると思うと納得です。
今回はそんな中でも、普通には理解ができない高額アートをご紹介します。
(著作権の関係で絵を載せられないのでイメージ。気になったらぜひ調べてみてください)
エルズワース・ケリー作「Green White」
※イメージ
この「Green White」という絵。そのタイトル通り白いキャンバスに緑の丸描いて塗っただけ。正直誰でも描けそうと思ってしまいますが、なんと落札当時の価格は約1億5千万円!!
エルズワース・ケリーは20世紀〜21世紀のアメリカの画家。
第二次大戦後の抽象表現主義の作家のなかで、いわゆる「ハード・エッジ(英語版)」(色面の輪郭が目立つ作風)の代表的な作家で、くっきりとした幾何学的形態の色面、色相対比を意識した色の組み合わせ、変形キャンヴァスの使用などにより、形態と色彩という絵画の根本的要素のもたらす視覚的効果を追求している。
(「引用」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』より)
わからない言葉が並んでいますが、この絵も長年の研究の賜物なのでしょう。
ゲルハルト・リヒター作「Blood Red Mirror」
※イメージ
ゲルハルト・リヒターは「ドイツ最高峰の画家」といわれる抽象画家で、現在、世界で最も注目を浴びる重要な芸術家のひとりです。
その中で「Blood Red Mirror」という作品はキャンバス一面が赤一色に塗られています。
逆を言えば、赤一色に塗られているだけなのです。
この絵のお値段なんと1億円。
何度も言いますが、どこをどう見ても赤一色に塗りつぶしただけにしか見えないので、1億円の価値がどこにあるのかは素人には到底分かりません。
サイ・トゥオンブリー作「黒板」
※イメージ
サイ・トゥオンブリーはアメリカ抽象表現主義の次世代を代表する作家であり、即興的な線や絵具、数字やアルファベットを組み合わせた絵画や彫刻、素描、写真作品を多く残している。52年に初めてローマを訪れた際に古代文明に魅了され、57年にイタリアに移住して以来、ギリシャ・ローマ神話や歴史、文学作品をインスピレーション源にした絵画を制作する。
(美術手帖 アーティストサイ・トゥオンブリー https://bijutsutecho.com/artists/296 )
この「黒板」という作品も、黒板に白いチョークでぐるぐると描いただけのような、まさにラクガキのような絵。
こちらは2015年にニューヨークのサザビーズオークションで約86億円の高値で落札されました。
サイ・トゥオンブリーの絵画はこのようなタッチが多く、常に「子供の落書き」のようだと形容されるほど、自由で本当に素人の作品ように見えることが狙いでもあるそうです。
レオナルド・ダヴィンチ作「サルバトール・ムンディ」
※イメージ
レオナルド・ダヴィンチは「最後の晩餐」や「モナ・リザ」など有名な芸術家ですよね。
その中でも「サルバトール・ムンディ」という作品はイエス・キリストを描いた肖像画で「男性版モナ・リザ」とも称される作品。今まで紹介した絵と比べるとしっかり描かれているのですが、驚くべきはそのお値段。なんと510億円!!
美術史上最高額で落札されたアート作品で、レオナルド・ダヴィンチ最後の名画。この絵を巡ったドキュメンタリー映画も公開されています。
『ダ・ヴィンチは誰に微笑む』
https://gaga.ne.jp/last-davinci/
(2021年製作/100分/G/フランス 原題:The Savior for Sale 配給:ギャガ)
やっぱりらくがきは面白い!ハラハラドキドキのらくがきちょうって?!
ラクガキのような高額アートを紹介しましたが、やはり自由に絵を描くのは楽しいですよね。
シリーズ累計95万部の大人気絵本『ぜったいに おしちゃダメ?』シリーズ最新作『ぜったいに かいちゃダメ?ラリーのらくがきちょう』が発売となりました。
これは「描いちゃダメ」な不思議なラクガキ帳。
なぜなら描いたら、大変なことが起きるから。
そんな風に言われたら、むしろ我慢できないのが
いたずら大好きのモンスター、ラリー。
誘惑に負けて、ラリーの言うとおりに「ラクガキ」をしてみると
ラクガキしたものが現実になっちゃった!
これは楽しい!でも大変!暴走するラリーを止めてあげなくちゃ。
ページの上を指でなぞったり、ぐるぐるしたり、ぐちゃぐちゃってしたり……
お子様と一緒に絵本の世界に没入できる、ハラハラドキドキの体験型絵本です。
(画像提供:iStock.com/syolacan)