ディズニーのある生活

東京ディズニーリゾートのこれまでの、そしてこれからの40周年

#連載エッセイ
#ディズニーのある生活

ディズニーを生活の一部にする幸せをあなたに。
歴16年の最強Dヲタ・みっこさんが、東京ディズニーリゾートと言う「沼」の魅力を語り尽くします。

これまでお伝えしてきた、東京ディズニーリゾートを楽しむためのコラム。今回は連載の最終回となります。まだまだ語り尽くせぬパークの魅力ですが、今回は間もなく迎える40周年を控え、これまでの、そしてこれからのディズニーリゾートについてお話してみたいと思います。

「おひとりさまゲスト」への対応の変化

近年のパークの大きな変化として挙げられるのが、「おひとりさまゲスト」の対応。これまでの東京ディズニーリゾートと言えば、ファミリーやカップル、友達同士のグループなど、複数で行くのが「当たり前」とされてきました。

しかし、近年では、いわゆる「おひとりさま」の需要も増え、それに合わせてゲストだけでなく、パークの考え方も大きく変わっていきました。

特に新型コロナウィルスの蔓延により、1人や少人数で行動することが認知された事も更にその傾向を加速させる大きな要因になったと思われます。

例えば、近年改装や新設されたレストランでは、「おひとりさま向けのカウンター席」が設置されたり、ショーやパレードを待つ際にも、キャストの説明の中に「おひとり様でお越しの方は(トイレなどに行くときは)お声掛けください」と言うような文言が増えました。

これまでも何度か触れていますが、パークの楽しさをじっくり味わうには実はおひとりさまが一番最適とも言えます。「時間」も「お金」も、そしてなにより、「気持ち」を存分に使えるおひとりさま。

これからも更にそうした環境が整っていくと良いですよね。

有料コンテンツによる「選択肢の増加」

また、近年のパークの大きな変化として挙げられるのが、有料コンテンツの増加。「有料のファストパス」と言える、「ディズニー・プレミアアクセス」が登場しました。

これは「アトラクションの待ち時間をお金で買う」といったもの。これまで無料だったファストパスが有料化することについては、「収益重視でディズニーらしくない」「何でもお金なの?」と話題になった時期もありました。

ただ、こちらについては、私個人的には、「ゲストの選択肢が増える」と言う意味では、混雑時には2時間から3時間近く待つアトラクションが「お金で解決する」と言うのはむしろ良いことだと思います。

今後もこうした有料コンテンツが増えて行くものと思われます。ただ、気になるのは、そうすることによって、パーク側が混雑を緩和・解消する努力をしなくなると言う懸念があるような気もいたします。

ただ、これからは「それなりのサービスの提供を受けるためには相応の対価が必要となって来る時代」とも言えます。

これはそれぞれその人の価値観によるところがあると思いますが、その「価格帯と満足度のバランス」についてはこれからも変化していく可能性はあるのかもしれませんね。

差別やジェンダーフリーに向けた変化

続いてはハード面では無く、ソフト面での近年の変化。シンプルに言うと、「世界的な流れ」に合わせるといった部分。

具体的に言うと、「ジェンダーフリー(男女平等)」の観点。世界の中で日本は遅れていると言われていますが、男女間の差別やお互いの尊厳の確立について。

そうした流れの先進国とも言えるアメリカでは、例えばアトラクション「カリブの海賊」の女性のオークションシーンがそうした差別の助長にあたるとの考え方から内容が変えられています。

そんな中、現在公式には発表されていませんが、東京ディズニーランドの「カリブの海賊」も半年以上の長期閉鎖中であり、こちらも変化するのでは…と言われています。

また、海外パークでは黒人差別が背景にあると言われている「スプラッシュ・マウンテン」の物語が変更されたり、日本の「ジャングルクルーズ」でも、探検隊が逃げまわるシーンがありますが、以前は1番上が白人で、その下が黒人…となっていましたが、現在はそうした人種による表現も撤廃され、差別に配慮した形になっています。

また、残虐なシーンが全て排除されて、「生死を賭けた厳しいジャングル探検」ではなく、「自然保護を目的とした会社のツアー」に参加するといったものに変わっています。

こうした「時代の要請」と言い換えることができると思いますが、もちろんそれに合わせる事も必要。しかし、「過去に実際にあった歴史」や「厳しい現実」と言うものの扱いについては、全て差し障りのない優しい表現に変わっていく事は難しい部分の様に感じます。

言い換えれば、過去の歴史を塗りつぶしてしまうとも考えられ、アトラクション本来の姿としては、そうした厳しい現実があったからこそ、今の世界があるという事も大切。これらは難しい話ではあると思いますが、色々と考えさせられる部分ですね。

それでもやっぱり特別な場所

2019年冬から、新型コロナウィルス感染予防対策のため、約三ヵ月の休園になったり、厳しい状況となった東京ディズニーリゾート。

条件付きで再開された後からも、入園者数やショーやパレード、レストランやショップなどの運営規模が全て縮小され、特にエンターテイメントについては内容がかなり削減された形となりました。

そして徐々に復調されつつある現在ですが、それでもまだエンターテイメントは完全版に戻っていません。

そして、そうした流れの中で迎える2023年4月の東京ディズニーリゾート40周年。既に発表された目新しいコンテンツは基本的にはパレードが新しくなるだけで、新しいエンターテイメントなどはあまり見受けられません。

これまでのアニバーサリーイベントと比較すると、仕方のない部分はもあるとは思うものの、正直に言うと、現状ではちょっと寂しい40周年になるような気もいたします

しかし、それでも、「非現実の世界」が楽しめる東京ディズニーリゾート。

今までも、そしてこれからも私たちゲストにとって、「特別な場所」であることに変わりはありません。

日々の喧騒を離れ、大人も子供に帰ることができる場所。そして、「夢」や「魔法」、「ファンタジー」や、「想像力」といった、決して日常では感じることのできない「特別な時間と空間を過ごせる場所」であることには変わりありません。

よく言われる、「ディズニーランドは永遠に完成しない場所」。

ここ数年は様々なエンターテイメント業界が足踏みをする中でしたが、やっとこれから前向きに動き出す時期となってきました。

そんな中で、日本を代表するテーマパークとも言える東京ディズニーリゾート。これからもそんな素晴らしい夢を見させてくれるパイオニアであり、癒しの特別な場所であって欲しいものですね。

(画像提供:iStock.com/martin-dm/DoraDalton/enigma_images/Clayton Piatt)


みっこ
10周年間、東京ディズニーリゾートに通う「Dヲタ」。東京ディズニーリゾートについての裏技や雑学を紹介しているブログ「TDRな生活」で、合計約4500記事、約16年間更新し続けている。ショーやパレードの鑑賞よりも、パークの細かな雑学や物語が大好物。普段は普通の社会人。WEBライターとしても活躍。TV番組への情報提供や、雑誌・週刊誌のディズニー系情報の執筆や取材同行、攻略系ブログ「TDRハック」の執筆にも参加。著書に『ディズニーに行く前に知っておくと得する66の知識』(文響社)、『ディズニーの待ち時間を劇的に減らす方法』『ディズニーがもっと楽しくなる魔法のトリビア』(KKベストセラーズ)など。

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