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「うまいラーメン」より「○○さんのラーメン」が上回る
だいたい商売に失敗する人というのは、
「お店を創ってから、お店に来てくださる方を中心にコミュニティを創っていけばいいんだ」
と思っています。
それで、お店を出す前は、ラーメン屋さんだったらいろんなお店で修行をしたり、あるいは味を研究したりと、「いかにお客さんが喜ぶお店を作るか」という部分に集中します。
努力していることはわかるのですが、実際にお店を初めてからは、家賃や人件費などの固定費を払うのが大変になって、お店のコミュニティを増やしていくことに時間を割けません。
それで次に、
「味の良いものを出し続けていれば、コミュニティは必ずできるはずだ」
などと考えます。
確かにそういうことはあるかもしれませんが、世の中には「味の良いものを出す店」は山ほどあるのです。
それらのお店を回っていると、お客さんが次にその人のお店に来るのは1ヶ月後や2ヶ月後になってしまう。
そして、特に激戦区のエリアともなれば、2回目に行ったら、もうその人のお店はなかった、なんていうことが起こるわけです。
ところが、最初の時点でコミュニティがあれば、状況はすべて変わります。
それはもう、出店したときから、コミュニティにとっては「待ってました!」なんです。
「ようやく○○さんのラーメンが食べられます」
なんていうことで、人によっては毎日のように来てくれます。それもたくさんの友人と共に!
「そんなこと言って、お店ができてもいないのに、どうやってコミュニティを作るのだ」
と言うかもしれません。
しかしまさにそれが私のコミュニティで、自分で商売を始めようと考える全員がやっていることなのです。
まず彼らは、できるだけ多くの仲間に、自分のやりたいことを公言していきます。
「僕は将来、イタリアンのお店を出したいんです」
「美容師の免許を持っていて、自分のお店を出すのが夢なんです」
毎度のように告知し、ネットなどでも折に触れて言っているから、皆「そのときは応援するよ」と、もう楽しみにしているほどです。
もちろん声に出すだけではなく、手足も動かします。
たとえば、何かのパーティに参加したときに料理の腕前を披露したり、ヘアメイクした作品を写真で皆に見せたりしています。
その人の成果物を見て、「この人は夢に向けてがんばっているんだな」と感じられれば、応援したい気持ちになりますよね。
そうやってコミュニティを作っていくのです。
実際、私のコミュニティに参加した人に、私が必ず言っているのは、
「誰かのコミュニティに属すだけではなく、あなたも自分のコミュニティを作ってくださいね」
ということです。
子供のころから、たくさんの商売をする人を見てきたので、私はよく知っています。
商売を始める前から、「すでにコミュニティがあるかどうか」で勝敗はほぼ決まっているのです。
(画像提供:iStock.com/ferrantraite/JGalione)
嶋村 吉洋(しまむら・よしひろ) 10代で起業し、実業家、投資家、映画プロデューサーなどさまざまな分野で多角的に活躍し、現在は投資家として、サイバーエージェント・テレビ東京・朝日放送・オリコンなどの大株主となり、ソーシャルビジネスコミュニティ【ワクセル】を発足。 1,400名に及ぶコラボレーター(協力者)が参画し、100以上のプロジェクトを創出している。 著書に『となりの億万長者が17時になったらやっていること』(PHP研究所)など。 https://shimamura-yoshihiro.jp/