サンクチュアリ出版という会社には
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メダカの水質をチェックする山口さん
会社の屋上と地下において
メダカを大量に飼育している、山口さんという従業員がいます。
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メダカを観察する山口さん
編集部、営業部、総務部、広報部、経理部
などの部署がある中、
山口さんは
広報部メダカ係
として活動をしています。
なんの話をしているのかよくわからない方は
この記事を読んでみてください。
ある日突然、
会社でメダカを飼育したいと言い出し、
社長の許可がおりるやいなや
メダカを何千匹? いや何万匹?
とどんどん増やし続けた山口さん。
私は一時期「大丈夫かな」と心配してました。
山口さん昔から、好奇心が強く多趣味な人なんです。
ただそれは一方で目移りしやすい性格でもあるということです。
ただ生き物の飼育だけは、
飽きたからといってやめるわけにはいきません。
万が一山口さんがメダカに飽きてしまったら、
この大量のメダカたちは一体どうすればいいんだろう?
こっそり社員全員で夜中に根津神社の池に放す?
とまで考えたこともありました(もちろん冗談です)。
あれから2年。
まだメダカが大量死したという話は聞かないし、
山口さんも無事に在籍しているよう。
でも私はもう、
山口さんのメダカ飼育のことを忘れかけてました。
そんなときに山口さん。
「メダカのことで報告したいことがあります」
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いつもユニークな服装で楽しませてくれる山口さん
「どうしました?」
「あれをみてください」
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あ、あれは
滝沢カレンさんの『カレンの台所』が
「料理レシピ本大賞」を受賞したときの表彰状。
「ではなく、」
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え?
なにあれ。
どうしたんです?
「聞いてくれますか」
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急にトーンがマジになる山口さん
というわけで、お話をうかがいました。
でも、私がいけなかったのでしょう。
すっかり楽しく雑談してしまって、
話があっちこっちに飛んでしまって、
気づけばずいぶん長いこと話しこんでしまいまして。
しかもそれから記事にするまでに
数ヵ月の時間がたってしまい、
ええとどうしよう?
なに話したかよく覚えてない!
いまの時代はすばらしいですよね。
どんなに長くてとりとめもない話でも
AIにおねがいしたら、
10秒ほどで要点をまとめてくれるのです。
お話はこういうことでした。
よろしくお願いします。いろいろ全部話しましたけど、去年の10月が最後の記事ということで、それから何があったかお話します。
その後、10月の品評会がありました。何回目のチャレンジだったかな…3回目のチャレンジでした。半年に1回の品評会なので、3回目の挑戦にして、実は賞状を1枚いただくことができました。賞状1枚もらいました。間に色々ありましたが、急に東京で開催されて、会場は町田だったんです。行ったら、いつもついてない受賞プレートがついていたんですよ。びっくりして、その瞬間から記憶がなくて。
広島での挑戦もすごく頑張って、これ以上ないくらいまで努力したんですが、取れなくてがっかりして帰ってきたんです。でも、その挑戦の中でヒントが見えてきました。この魚の系統で行けばいいんだと思って、それを一生懸命やったんですが、結局うまくいかず、途方に暮れてしまいました。
その途方に暮れている間に、新しい流れを作ろうとか、よく見せようとか思わずに、これまで丁寧に育ててきた魚たちに目を向けました。オーソドックスな品種だったんですけど、いい体型といい色をしている魚がいて、「ああ、これでいけるかもしれない」と思い、その魚を整えて出品したんです。そしたら、それが見事に受賞したという話です。
力を入れてやっていたことが空回りしていたんですが、普通に育てていたメダカが、実はスクスク育っていて、日々の育成が間違っていなかったことに気づかされました。自分の研究が失敗していただけで、基礎は正しかったんですね。
広島の時も、賞を取れる腕はあったはずなんですが、センスや技術がまだまだ足りていませんでした。結局、ひらめきで「これだ!」と思ったものも、ダメだったんです。それで一度ゼロに戻ろう、基本に戻ろうと思って出品した魚でした。
ちなみに「光だるま」という品種をご存じですか? 光だるまは、普通の長いメダカと違って、背骨の数が少なく、金魚のように丸い体型をしています。そして「光」というのは、上下対称のヒレの形になっている品種です。通常の体型は、下のヒレが大きく、上の背びれが小さいですが、光体型はヒレが均等になっているのが特徴です。
その「光だるま」を出品して、16人中3位に入りました。ただ、大きさと色で負けた部分がありました。大きい方がよく、色が濃い方が評価が高いんです。
こうして人生で初めてトロフィーと賞状をいただきましたが、受賞によって心境に変化がありました。前に品評会の基準を作った先生に話を聞きに行っていたんですが、その基準に近づけることが大事だと教わりました。品評会は、美しいメダカを残していきたいという基準があって、それを理解しなければ勝てないんです。だから、その基準に近づけることを意識するようになりました。
毎日、勝ちたいという気持ちを持つようになり、それが大きな転機になりました。メダカのことは常に考えていましたが、業界で勝ちたいと意識することで、育て方が変わっていったんです。
僕の活動は、メダカを広めることと大会で勝つことの二本柱です。この大会での勝利が、メダカを広める活動にどう影響するかは変わりませんが、やりがいは大きいですね。
これからも挑戦は続きます。次の春の大会では、ダルマ部門で2位、バラエティ部門で3位を獲得しました。2位と3位の間には大きな壁がありますが、さらに頑張りたいと思っています。水の調整や色を濃くする工夫をしながら、次の挑戦に向けて準備を続けています。
今後の目標は、部門で1位を取ることです。そして、総合でも上位に入りたいです。さらに、3回以上3位以内に入れば、審査員の資格を得ることができるので、そちらも目指しています。
品評会での勝利を目指しつつ、メダカを広めたいという思いもあります。
ほぼChatGPT4oによるまとめ記事
ええ?
すごくないですか? ChatGPT!
じゃなくて、山口さん!!
さらっと2位とか3位とかっていってますけど、
最も伝統のある
メダカの日本大会において
なんと2位になってしまったのだとか!!!
会社で祝勝会とかしなかったのですか?
いやまだ上をめざしてるから、
祝勝会はまだ先のことなのでしょうか。
だからかわからないですけど、
もう山口さんの発言がアスリートなんですよ。
とにかく日本にもっとメダカを普及させたい。
メダカの魅力を伝えたい。
そのためにまずはみずから
「日本一のメダカ師」をめざし、
メダカ大使としてできることを増やしていきたい、
ということらしいのです。
そして
「将来的には、メダカをテーマにした漫画を作りたいとも考えています。
いくつか出版社にも提案し、新しい形でメダカの魅力を伝えていきたいです」
と。
これを見せてくれました。
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AIで作ったこのイメージをマンガ出版社に持ち込む予定とのこと
なるほど!!
応援してます! 山口さん。
(画像提供:iStock.com/Satoshi-K)
山口慶一
サンクチュアリ出版広報部イベントチーム。
本好きが高じて書店に10年間勤めたのち、サンクチュアリ出版へ転職。
営業部→広報部メダカ係。
メダカ飼育歴3年、3度の飯よりメダカが好き。
好きな言葉は「これでいいのだ」
聞き手 橋本圭右