実行の鬼-実践編-

腸内細菌があなたの機嫌を決める

#連載エッセイ
#実行の鬼-実践編-

「健全なる精神は健全なる肉体に宿る」

ローマの詩人の有名な一句です。

健全なメンタルを保つ秘訣は、健全な身体の維持にあると私は考えています。

特に、自己管理において腸内環境とメンタルは密接な関係があります。

「腹を立てる」
「はらわたが煮えくり返る」

昔からある言葉からも読み解けるように、心とお腹は繋がっているという考え方は現存しています。

腸は、消化器官としての機能だけでなく、神経系の働きもしています。

腸の神経系の働きは、とても優秀で、腸→脳へ神経を経由して、様々な伝達が行われます。

そして着目すべきは、迷走神経の90%は腸が脳に指令を出しているのです。

まさに、“腸は第二の脳”といえます。

また、腸の状態を決めるのは、腸内細菌です。

腸内細菌には、ビフィズス菌や乳酸菌に代表されるような善玉菌と、身体に害を及ぼす悪玉菌が存在します。

マウスの実験によると、2匹のマウスの腸内細菌を入れ替えると、性格や行動が変わるとまで言われています。

腸内細菌が、性格や行動まで変えてしまうということです。

このことから、メンタルを変えるのではなく、腸内環境を変えることが、自己管理のポイントであるといえるのです。

この記事は書籍『 実行の鬼 最速で結果を出すためのエクストリーム自己管理術 』の関連コラムです。

食事の目的は、腸でセロトニンを生成するため

心(メンタル)の働きに大切な神経伝達物質が3つあります。

それが、ドーパミン・ノルアドレナリン・セロトニンです。

これらは、心の三原色ともいわれています。

ドーパミンは、快楽ホルモンと呼ばれ、意欲を高めます。

ノルアドレナリンは、ドーパミンからの代謝産物で、集中力を高めます。

セロトニンは、幸せホルモンと呼ばれ、ドーパミンやノルアドレナリンをバランスよく保つ機能があります。

つまり、心の安定に必須なのは、セロトニンです。

セロトニンは、脳内で約2%、残りの約90%以上は、腸で生成されています。

あなたが、幸せかどうかを決めるのは、脳ではなく、腸なのです。

セロトニンの合成に必要なのが、先ほど紹介した(腸内細菌の中にある)善玉菌です。

善玉菌を増やすためには、プロバイオティクスをとることです。

また、食物繊維やオリゴ糖は、“善玉菌のエサ”と呼ばれ、善玉菌を増やす働きをします。

つまり、食物繊維やオリゴ糖の摂取も効果的といえるのです。

実践その① 朝一ベランダに出る

ここからは、私が腸内環境を仕上げるために、具体的に実践していることをお伝えします。

起床直後はまず、ベランダに出ます。

布団の中で携帯を触るでもなく、トイレに行くでも歯を磨くでもなく、まず、ベランダです。

朝一番で外気に触れ、日光を浴びる。

すると、セロトニン(幸せホルモン)が生成されます。

心と身体は連動しているので、セロトニンを生成することで、自分で自分をご機嫌にすることができる。

心が整います。

軽い脳疲労であれば、一週間続けるだけでも、「不安」が頭をよぎる回数は減るでしょう。

「太陽の光」を浴びると、脳のセロトニン工場が動き始めます。

調子が悪いからといって、昼近くまで寝たり、テレワークで一歩も外に出ない人は、セロトニン工場がスタートしません。

朝、日光を浴びながら散歩をし、朝食をよく噛んで食べれば、セロトニンは十分に活性化するのです。

自分がご機嫌でいると、人間関係が良好になります。

親しい友人とカフェで1時間おしゃべりをすると、「ああ、楽しかった」と思うはずです。

分泌されているホルモンは、愛とつながりのホルモン「オキシトシン」です。

オキシトシンは「幸福物質」とも呼ばれ、人との交流で「楽しい」「幸せ」「癒される」と感じる時に反応します。

赤ちゃんを抱っこする、恋人とハグをする、人との間で「共感」が生まれる、このような時に、オキシトシンは大量に分泌されるのです。

セロトニンの生成は、オキシトシンの分泌を促進することにも繋がるのです。