私が著者になるまで

おしゃれ迷子に届けたい。史上初「パーソナルカラー×骨格診断」12冊シリーズ/海保麻里子

#私が著者になるまで

近年SNSや雑誌で飛び交うようになった、「パーソナルカラー」「骨格診断」という言葉。自分に似合うファッションやヘアメイクを知り、もっとすてきな自分になるためのセオリーです。『パーソナルカラー×骨格診断別 似合わせBOOK』(サンクチュアリ出版)は、パーソナルカラー4タイプ×骨格診断3タイプをかけ合わせ、12タイプそれぞれの「似合わせのコツ」を1冊ずつにまとめた史上初の実用書。著者の海保麻里子さんに出版秘話をお聞きしました。

この記事は書籍『 『パーソナルカラー』×『骨格診断』似合わせBOOK 』の関連コラムです。

じつは知られていない、12タイプ別「似合わせのコツ」

聞き手
すごい本が出ましたね……!

パーソナルカラーや骨格診断の本はほかにもありますが、12タイプを1冊ずつにわけて紹介した本は初めてですよね。

ビューティーカラーアナリスト®︎として20年以上仕事をしてきましたが、パーソナルカラーと骨格診断をこれだけ細分化してお伝えできたのは、私にとっても初めて。

12タイプそれぞれに合う色や形や素材のアイテムを集めて、コーディネートを30体ずつ組んで、モデルさんもタイプごとに12人探して、撮影して……。本当に大変でしたが、制作チームで力を合わせて形にすることができました。

海保さん
聞き手
私も制作に携わらせていただきましたが、毎週のように打ち合わせや撮影をして、部活みたいでしたよね(笑)。海保先生ご自身は、この本のどこをいちばん推したいですか?
全部です(笑)。でもやっぱり、パーソナルカラーと骨格診断をかけ合わせて1タイプごとに「似合わせのコツ」を紹介しているところですね。

たとえば、冬×ナチュラルタイプの方。ナチュラルタイプは基本的にカジュアルなファッションが似合いますが、冬タイプはきれいめが似合うので、冬×ナチュラルタイプも少しきれいめなカジュアルを意識すると似合いやすくなります。そういう細やかな情報は世の中にあまり出ていないので、すごく価値があるなと思います。

海保さん
聞き手
自分の診断結果がしっくりこなくて、パーソナルカラーや骨格診断に“アンチ”になっている方、けっこういると思います。そういうモヤモヤを解消してくれる情報もたくさん載っていますもんね。
パーソナルカラーは「似合う色」を、骨格診断は「似合う形と素材」を見極めるメソッド。あとは「似合うファッションテイスト」を見極める顔診断がありますが、それぞれの診断を個別に受けた場合、かけ合わせたときの調整のしかたまではわかりません。そのため、自分のタイプに似合うとされているものが似合わないケースが出てくるんです。

私のサロンにお越しになるお客さまにも、そういう方がけっこういらっしゃいます。サロンでは3つの診断をすべておこなえるので、よりお似合いになるものを導き出してお伝えしていますが、そのセオリーを書籍という形で多くの方にご紹介できてうれしいです。

海保さん

ついに時代が追いついた! 出版の裏話

聞き手
先生は2017年に1冊目の著書を出版されていますが、その後、新しい本を出したいという思いはあったんでしょうか?
はい、ずっとありました。前回は文章の本だったので、今度はビジュアルをメインにして、より多くの方に届くような本をつくりたいと思っていました。
海保さん
聞き手
サンクチュアリ出版から出版することになった経緯は?
私は以前から、精神科医で作家の樺沢紫苑先生のコミュニティでお世話になっているのですが、先生の大ベストセラー『学びを結果に変える アウトプット大全』シリーズの編集を担当されたのがサンクチュアリ出版の吉田麻衣子さん。次はぜひ吉田さんとご一緒したくて、とある懇親会でご挨拶したのがきっかけです。ただ、最初の企画はサンクチュアリさんの社内会議で通らなくて、いったん保留に。それがコロナ禍前のことです。
海保さん
聞き手
なぜ通らなかったんですか?
当時はまだパーソナルカラーや骨格診断がいまほど浸透していなくて、「セルフ診断で自分のタイプに本当にたどり着けるのか?」という部分がネックだったようです。血液型や星座のように、自分がどのタイプかみんな知っている時代がきたら、またやりましょうというお話でした。
海保さん
聞き手
ついに時代が追いついたんですね。いまはネットの簡易診断もたくさんありますし、私(ミレニアル世代)のまわりも自己診断したことのある人が大半。正確かどうかは差し置いても、「自分はこのタイプかな?」くらいの認識は多くの人がもっている印象です。

今回は先生が監修した無料診断サイト(パーソナルカラー診断骨格診断)も用意されているので、本を買う前にあらためて診断できるのがいいですよね。

「パーソナルカラーが2タイプにまたがる」とか、「ストレートだけどウェーブのような甘いファッションが好き」といった方もいらっしゃるので、そういう場合は2冊参考にしていただくのもおすすめ。基本的なセオリーは押さえつつ、ご自身に合う形で楽しくアレンジしていただけたらうれしいです。
海保さん
聞き手
今回はオールカラーの本ということで、先生のご専門の「色」についてわかりやすく紹介している点も見どころかと。
そうですね。カラーコーディネートの基本から、実際のお洋服を使ったコーディネート、似合う色と苦手な色、色がもつ心理的効果まで、たっぷりお伝えできました。「似合う色はわかったけど、何色の服を買えばいいかわからない」という方や、逆に「似合いにくい色が知りたい」という方はサロンのお客さまにも多いので、実用性の高い内容になったと思います。
海保さん
聞き手
先生のノウハウが惜しみなく詰まった12冊ですね。
「本を書くときは出し惜しみしない」という樺沢先生の教えのとおり、私が知っていることは全部お伝えしました。社会貢献のつもりで。私自身、自分がやってきたことの棚卸しができましたし、制作中にあらためて気づくことも多かったので、とてもいい経験になりました。
海保さん

一大決心の末、憧れのカラリストに

聞き手
先生はカラリストになる前、松屋銀座とセリーヌジャパンにお勤めだったとか。もともとファッションがお好きだったんですか?
はい。子どものころは着せ替え人形に夢中でした。私は次女で、姉のお下がりを着ることが多かったので、お洋服に対する執着が自然と強くなったんだと思います。学生時代はファッション誌を何冊も買ったり、渋谷中のセレクトショップをまわったりして、社会人になってからはお給料のほとんどをファッションや美容に費やしていました(笑)。
海保さん
聞き手
会社員から独立の道を選ぶのは勇気がいることですが、「いつか自分で仕事をしたい」という思いは以前からあったんでしょうか?
いえ、当時はまだ女性がバリバリ働く時代ではなかったので、私も「就職は結婚までの腰かけ」なんて甘く考えていたんです。でも百貨店では男女関係なく仕事を任されて、大変でしたが働く楽しさも知りました。小さいブランドの商品を集めた売り場のバイイングを任せてもらえて、やりがいがありましたね。
海保さん
聞き手
カラリストになろうと思ったきっかけは?
ちょうどそのころ、アメリカのあるブランドが日本に上陸して爆発的にヒットしました。そのブランドには、当時日本ではほとんど認知されていなかったカラリストという職業の方がいらっしゃって、商品ディスプレイのレイアウトなどを全部決めていたんです。それを見て憧れたのが最初のきっかけです。

当時もカラーのスクールはいくつかあったものの、受講料がとても高くて、一度はあきらめてアパレルに転職しました。そこでの仕事も楽しかったのですが、やっぱりあきらめきれず……。そんなときに前の主人と離婚することになり、「手に職をつけないと」と焦った私は、派遣社員として働きながら専門学校へ。27歳のときでした。

海保さん
聞き手
一大決心だったんですね。カラリストという職業がまだ一般的でないなか、おひとりで仕事を始めるのは大変だったのでは?
はい。いまのようにネットやSNSで集客ができない時代でしたからね。資格をとったあと、最初は派遣社員を続けながら、結婚相談所でもカラースタイリストとして働かせていただきました。婚活される方のパーソナルカラー診断をして、お写真を撮るために同行ショッピングして一緒にお洋服を選んで、メイクをして。当時は画期的なサービスだったと思います。デザイン学校の講師もかけもちしていたのでお休みはほぼなかったですね。

あとはホテルのブライダル部門にも営業にいきました。若かったし実績もなかったので、大変でした。大幅に値切られたり。でも、半年くらい通ったあるホテルとお取引させていただけることになってからは、ブライダルのお仕事が増えました。ウェディングドレスのカラー診断とか、ホテルが提携する衣装会社や美容室の社員研修とか……。

海保さん
聞き手
すごい、地道な努力の賜ですね……! 「就職は腰かけ」と思っていた時代があったなんて嘘みたい。
もともと体育会系なんです、私(笑)。
海保さん

本来の魅力を磨けば、誰でもすてきになれる

聞き手
個人のお客さまのコンサルティングはいつごろ始めたんですか?
息子の育児をしながらだったので、15年くらい前かな。最初は自宅のリビングで始めて、3年後くらいに現在の南青山のサロンをオープンしました。
海保さん
聞き手
けっこう早い段階で軌道に乗ったんですね。
それが、当時主人の勤めていた外資系企業が日本を撤退することになってしまって。私は心配性なので「息子のためにもっと働かなきゃ」と思い、再び一大決心をしたんです。

パーソナルカラー診断は一度受ければ自分のタイプがわかるので、きちんとコンサルティングをすればするほどリピートを獲得しにくい仕事。美容室やネイルサロンと違い、つねに新規のお客さまに来ていただかないといけません。カラー診断がまだあまり知られていなかった当時は、お部屋を借りてサロンを構えているカラリストはほとんどいませんでした。

海保さん
聞き手
リスクをとって挑戦したからこそ、パイオニアになれたんですね。
あのときは不安でいっぱいでしたが、アクセスのいい南青山にサロンを構えたことで商圏が日本全国に拡大。同時にスクールも開校したので、売上は格段にアップしました。自分ひとりで活動する方が多いなか、スタッフを採用したのも弊社が先駆けだったと思います。
海保さん
聞き手
お話を聞いていると、先生はずーーーっと走り続けていらっしゃいますね。書籍の制作中も、本業との両立でとてもお忙しそうでした。その熱量はどこからくるのでしょう?
自分でも「私なんでいつもこんなに忙しいんだろう」って思います(笑)。まじめな性格なので、お仕事をいただいたら「一生懸命やろう」「最後までやり遂げなきゃ」と思うんですよね。もちろん、カラーやお洋服のコーディネートを考えるときは楽しいし、お客さまのお役に立てることがとてもうれしい気持ちが根っこにあるんですけど。
海保さん
聞き手
こんなにお忙しいのにいつもきれいな先生。それが私には最大のミステリーです……。きれいの秘訣は!?
全然です。忙しくてエステとかも行けていないですし、家ではヨレヨレ(笑)。強いていえば、毎朝の酵素ドリンクと、20年通っている美容皮膚科くらいでしょうか。
海保さん
聞き手
え〜、ほかにもいろいろありそうですが……、インタビュー趣旨が変わっちゃうので別の機会に(笑)。最後に、先生のこれからの目標をお聞かせください!
SNSが当たり前になったいまの時代、無意識に自分と人を比べてしまう方も多いんじゃないかな思います。でも、これまで多くのお客さまとお会いしてきて思うのは、お洋服とメイクをとってしまえば、外見の差なんてそんなにないということ。それぞれがもっている本来の魅力に気づき、自分に似合うものを身につけることで魅力を磨いていけば、誰でもすてきになれるんです。

今回の書籍を通じて、そのことをより多くの方にお伝えするという目標に一歩近づけました。今後は、コンサルティングやセミナーは引き続きおこないつつ、たとえば協会を立ち上げて後進の育成に力を注ぐなども視野に入れています。会社を拡大するより、一つひとつの仕事を突き詰めてクオリティを高めるほうが私には向いているので、自分の強みをいかしながら世の中のためになることをしていきたいです。

海保さん

(取材・文 三橋温子)

海保麻里子
ビューティーカラーアナリスト®︎
株式会社パーソナルビューティーカラー研究所 代表取締役
パーソナルカラー&骨格診断を軸に、顧客のもつ魅力を最大限に引き出す「外見力アップ」の手法が評判に。24年間で2万人以上の診断実績をもつ。自身が運営する、東京・南青山のイメージコンサルティングサロン「サロン・ド・ルミエール」は、日本全国をはじめ、海外からも多くの女性が訪れる人気サロンとなる。
本シリーズでは、その診断データをもとに、12タイプ別に似合うアイテムのセレクト、およびコーディネートを考案。「服選びに悩む女性のお役に立ちたい」という思いから、日々活動を行う。
また、講師として、カラー&ファッションセミナーを1万5千回以上実施。企業研修やラグジュアリーブランドにおけるカラー診断イベントも多数手がける。わかりやすく、顧客に寄り添ったきめ細やかなアドバイスが人気を博し、リピート率は実に9割を超える。
2013年には、「ルミエール・アカデミー」を立ち上げ、スクール事業を開始。後進の育成にも力を注ぐ。
この記事は書籍『 『パーソナルカラー』×『骨格診断』似合わせBOOK 』の関連コラムです。