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アイデアの出し方まとめ|会議やワークショップですぐに実践できる!

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新商品の開発担当になったのにアイデアが浮かばない、現状の課題の解決策が思いつかない、という経験はありませんか? 企画部門の方は特に、アイデアが出ずに悩むことも多いのではないでしょうか。

この記事では、さまざまなアイデアの出し方について具体的な手順も含めて紹介します。会議やワークショップですぐに実践できるものが多いので、ぜひ参考にしてください。

そもそもアイデアとは?

アイデアとは、現在ある問題を解決するための新しい視点で考えられたものです。ジェームス・W・ヤングの名著「アイデアのつくり方」には、「アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせ以外の何ものでもない」と書かれています。

つまり、アイデアとはゼロから生み出すものではなく、既に世に知られている物事をどのように組み合わせるか、ということを意味します。

■ アイデアはひらめきではなく「思考の結果」

アイデアは突然ひらめくものではなく、思考の末に導き出されるものです。パッと頭に浮かんで考えがまとまっていない発想とは異なり、アイデアは論理的に考えて他人に伝わる形にする必要があります。発想は偶然に左右されますが、アイデアは論理にのっとって生まれます。

アイデアの出し方まとめ8選

アイデアの出し方について、具体例を交えながら以下で8つ解説します。

■ ブレスト|とにかく量を出す

ブレストとは、ブレインストーミングの略で、ある課題についての解決策をグループで自由に出し合うことです。ブレインストーミングの意義は、とにかくたくさんの量を出すことなので、他人の意見を批判しないようにします。

また、他人のアイデアに乗って考えることで、さらに、自分一人では生み出せなかったアイデアが生まれます。

方法と手順

ブレストは、以下の3つのステップをおこないます。

1.テーマを決め、メンバーが順番にアイデアを発言する
2.次のKJ法を実行するため、1枚のカードに1つのアイデアを書く
3.1を数周繰り返す

自分の番になったら必ず発言しましょう。ただし、前の人とかぶってはいけません。全員が発言することが重要なので、少人数で比較的小さめの部屋でおこなうと、内気な人でも発言しやすくなります。

たとえば、テーマを新たな時計の開発とします。一人ずつ順番に「テレビが観られる」「寝ているときにつけると睡眠の質がわかる」「ゲームができる」など、思いつくままに発言していきます。

■ KJ法|雑多なアイデアやデータを統合して新たに発想を得る

KJ法とは、雑多なアイデアをグループ分けしたり、アイデア間の関係性を分かりやすくして整理し、問題が解決するまでたどり着くための手法です。文化人類学者の川喜田二郎氏が考案したため、頭文字を取ってKJ法という名前になりました。

KJ法は、ブレインストーミングなどで出たアイデアに対しておこなうと効果的です。

方法と手順

KJ法は、以下の4つのステップをおこないます。

1.ブレインストーミングで出たアイデアをカードに記入する
2.内容の似ているカードをグルーピングする
3.グループ間の関係性を明解にするため、矢印などの記号を用いて図解化する
4.図解化したものを時系列に沿って文章に落とし込む

文章化する場合は、複数のチームに分けておこなうと、違う視点で考えられるのでより効果的です。

たとえば、ブレストと同様に新しい時計を開発しているところとします。「テレビが観られる」と「ゲームができる」は、娯楽というグループでくくることができ、「睡眠の質がわかる」は、健康というグループにあてはまります。

■ マンダラート|目標達成のための施策を考える

マンダラートとは、9つのマス目を作りそれぞれにアイデアを書き入れることで、自分で書いた発想を整理しながら広げていく手法のことです。このマス目が仏教の曼荼羅(まんだら)と似ており、曼荼羅を用いたアートという意味でマンダラートと名付けられました。

マンダラートのメリットは、埋めなければならないマス目の数が決まっているので、アイデアが出にくいものでもひねり出せることです。

方法と手順

マンダラートは、以下の3つのステップをおこないます。

1.紙に3×3のマス目を書き、中心のマス目に現状の課題やテーマを書く
2.周りの8つのマス目にテーマに関連する言葉を書く
3.2で周りのマス目に書いた8項目の一つを、新たなマンダラートの中心にして同様に繰り返す

たとえば、テーマをコップの開発とします。関連する言葉は「持ち手」「ガラス」「安く買える」などが挙げられます。さらに、持ち手をテーマに関連する言葉を書いていきます。「形がユニーク」「持ちやすい」「洗いやすい」などが挙げられます。2と3を繰り返すことで思考が深まり、より多くのアイデアを生み出せます。

■ シックスハット|多角的に物事を見ることができる

シックスハット法とは、6つの視点から物事をみることで、多角的な意見を出すための方法です。6つの視点とは、中立(白)・感情(赤)・肯定(黄)・否定(黒)・革新(緑)・俯瞰(青)です。既成の概念にとらわれない水平思考をベースに考えられており、ブレインストーミングの発展版とも言えます。

この手法では、各役割に沿って意見を出す必要があります。積極的な意見がなかったとしても、その役割の人は意見を出さなければいけません。

方法と手順

シックスハット法は、以下の3つのステップをおこないます。

1.進行役とタイムキーパーを決め、6色の帽子を用意する(帽子がない場合はバッジや折り紙などでもよい)
2.白→赤→黄→黒→緑→青の順番で、それぞれ3〜5分ずつ意見を言う
3.順番を入れ替えたり、ブラッシュアップに必要なステップに戻ったりしてアイデア出しを繰り返す

必ずしも2の順番である必要はありません。不要なステップは省きましょう。

たとえば、テーマを社内パーティーの余興とします。中立の立場からは「今までの余興やよくある余興を模倣する」、革新の立場からは「全員が参加型の余興にする」などが挙げられます。

■ 希望点列挙法、欠点列挙法|理想から発想する

希望点列挙法とは、こうなって欲しいという夢や理想を挙げ、それが実現するためにはどうしたらよいかを考える手法です。理想から考えることで、革新的なアイデアを得やすいです。

欠点列挙法とは、こういうところが嫌だなという現状の課題や欠点を挙げて解決策を探る手法です。希望点列挙法とは異なり、現実的なアイデアが出やすいです。

欠点列挙法で挙げた欠点に対して希望点を絞り出す、などのように2つの手法を組み合わせて用いることも可能です。

方法と手順

希望点列挙法、欠点列挙法は以下の4つのステップをおこないます。

1.テーマ・対象となる商品やサービスを決める
2.希望点(または欠点)を挙げる
3.2で挙げた希望点(または欠点)から、話し合うものを選ぶ
4.選んだ希望点(または欠点)に対して解決策を考える

希望点列挙法、欠点列挙法は異なる視点を持つ5〜6人のメンバーでおこなうとより効果的です。

たとえば、テーマを現行のオンラインショッピングとします。欠点を挙げると「発送が遅い」「画像では商品のサイズがわかりにくい」となります。その中から話し合うものを選び、解決策を考えます。発送が遅いについて話し合う場合、「午前中の注文は当日に発送する」「人手を増やす」「梱包を見直す」のように進められます。

■ なぜなぜ分析|課題の解決策を考えるのに役立つ

なぜなぜ分析とは、「なぜ問題が起きたのか」「その原因は何なのか」「さらにその原因は何なのか」というように「なぜ」を繰り返すことで課題の解決策を考える手法です。

問題の原因について深く掘り下げることで、論理的な解決策を考えるのに役立ちます。また、大きな問題を細分化し、実行に移しやすいところまで落とし込めるというメリットもあります。

方法と手順

なぜなぜ分析は、以下の4つのステップをおこないます。

1.現状の問題を挙げる
2.なぜその問題が起きたかを考える
3.2の原因を考える
4.3を繰り返す

たとえば、課題を「オンラインショッピングのサイトの売り上げが伸びない」とします。その原因は「アクセス数が少ないから」、さらにその原因は「拡散する人がいないから」「検索で流入しないから」と枝分かれしていきます。さらにそれぞれの原因を考えると、拡散されない理由は「人にシェアしたくなるようなユニークさがないから」、検索流入しない理由は「検索されるコンテンツがないから」と原因を追求することができます。なぜなぜを繰り返すほど問題が細分化されるので、自ずと解決策も見えてきます。

■ アイデアしりとり|斬新なアイデアを見つけられる

アイデアしりとりとは、企画から一度離れてしりとりをし、しりとりで出てきた言葉から連想してアイデアを得る手法です。一般的に自由にアイデアを出そうとすると、自分の枠からなかなか抜け出せずアイデアが出にくいです。

この手法であればしりとりの段階ではテーマにとらわれる必要がないので、斬新なアイデアが見つかります。また、しりとりと連想を組み合わせるだけなので、ゲーム感覚でアイデアを生み出せます。

方法と手順

アイデアしりとりは、以下の4つのステップをおこないます。

1.テーマが持つ要素を書き出す
2.表を用意し、左の縦一列にしりとりで言葉を書いていく
3.2で書いた言葉の右に、テーマとその言葉を組み合わせたアイデアを思いつく限り書く(思いつかない場合は、1で書き出したテーマの要素と組み合わせるとよいです)
4.3を繰り返し、気になったアイデアをマーキングする

たとえば、取引先の方に贈るプレゼントとします。要素は、スペースを取らないもの、予算は1万円くらいのもの、とします。用意した表の左縦一列に、りんご、ごま、まくら、らっこ…のようにしりとりをしていきます。次に、りんごとテーマを組み合わせたアイデアを思いつく限り書いていきましょう。「メッセージが刻まれたりんご」「大量のりんご」「りんごで会社のロゴ」といったように進めていきます。最後に、気に入ったアイデアをマーキングして絞り込みます。

■ オズボーンのチェックリスト|9つの質問から発想を得る

オズボーンのチェックリストとは、アイデアが浮かばないときに便利な汎用性の高いリストです。アイデアのヒントとなる9つの質問を、課題に対して問いかけることで新たな発想を得やすいというメリットがあります。

9つの質問は、以下のとおりです。

1.他に使い道はないか
2.他からアイデアを借りられないか
3.変えてみたらどうか
4.拡大したらどうか
5.縮小したらどうか
6.他のもので代用できないか
7.入れ替えてみたらどうか
8.逆にしてみたらどうか
9.組み合わせてみたらどうか

方法と手順

オズボーンのチェックリストは、以下の2つのステップをおこないます。

1.リストの質問に答えていく
2.1つの質問である程度アイデアが浮かんだら次の質問にいき、これを9つの質問に対しておこなう

たとえば、時計を製造している企業が新たな商品を開発するとします。まず、他の使い道を考えると「アラーム機能」「タイマー」などが挙げられます。次に、他からアイデアを借りられないか考え、「世界時計からアイデアを借りて、1カ国だけ世界の時刻を確認できる」を挙げます。このように質問に答えていくことで、「遠距離恋愛中のカップル向けに、同じ時刻にアラームが鳴ることで離れていてもお互いを想えるペアウォッチ」といったアイデアを得ることができます。

まとめ【アイデアはアウトプットによって生まれる】

アイデアとは突然ひらめくものではなく、既存の要素の新しい組み合わせであり、論理的に導かれるものです。本記事ではブレインストーミングやKJ法をはじめ、多くのアイデアの出し方を紹介しました。自分や自社に合うものを実践してみてください。

また、アイデアスキルの向上には、日常的なアウトプットの習慣をつけることが重要です。日頃のアウトプットは自分自身の成長を促す効果があり、アイデアスキルだけでなくビジネススキルの向上にも役立ちます。アウトプットについてより詳しく知りたいのであれば、以下の書籍がおすすめです。ぜひチェックしてみてください。

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(画像提供:iStock.com/Peshkova)

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