文章があいまい、失礼な文面、攻撃的な表現、情報が足りない、読みづらい…。全国約1000社の役職者たちが明かした、相手に不快感を与えるポイントを完全解決。「ビジネスメール」の第一人者が、メールの具体的な書き方のマナーを解説します。
あなたは、「ビジネスメール実態調査」というものをご存じですか?
これは、仕事でメールを使う人を対象にした、日本で唯一のビジネスメールに関する調査です。
この調査結果の中に面白いデータがあります。
それは、約1000社の役職者(いわゆる会社の上司)たちが「仕事でメールを受け取って不快に感じたこと」のランキングです。
上位5つは以下の通り。
・文章があいまい(35.84%)
・文章が失礼(34.04%)
・必要な情報が足りない(28.48%)
・メールが読みづらい(27.99%)
・文章が攻撃的(26.02%)
つまり、役職者たちが「イラッとする」メールの大半は、この5種類に集約されます。
このコラムでは、その調査結果をふまえ、人をイラッとさせないメールの書き方について、解説します。
目次
イラッとさせない書き方❶ 「文章があいまい」なメールを防ぐ
読み手をイラッとさせるメールの特徴はさまざまありますが、中でも「文章があいまい」なメールはその筆頭です。
「何が言いたいの?」「私にどうしてほしいの?」と不快感を与えてしまうので、注意しましょう。
「文章があいまい」なメールになってしまう理由はいくつか考えられますが、ありがちなのが、メールを「思いついた順番に書いてしまうこと」。
事前に情報を整理しないでメールを作成すると、文章の中で「情報」「意見」「結論」が入り混じってしまいます。
これでは読み手が、メールを読んだあと、どうすればいいかわかりません。
この対策の1つとして有効なのが、「メールを書く前に情報を整理する」ことです。
まずは、メールに必要な情報をすべてピックアップします。
次に、メールを書く「目的」と「誰に書くか」で情報を絞り込みます。
たとえば、ヒットした自社製品のバージョンアップ商品についてのメールを書く場合。
「上司に、販売戦略を確認してもらう」ために書くメールと、「既存商品を使っているお客様に、新商品を案内する」ためのメールでは、伝えるべき情報が異なるはずです。
こうして、「情報をすべてピックアップ→必要な情報を絞り込む」というステップをふんで書いたメールは、自然と「相手に何をしてほしい」かが伝わります。
慣れないうちは、紙やパソコンのメモ帳を使ってもいいので、ぜひ情報整理をしてみてください。
イラッとさせない書き方❷ 「文章が失礼」なメールを防ぐ
メールの読み手が「失礼だ」とイラッとする理由の1つに、「内容や立場に合った表現になっていない」というケースがあります。
たとえば、生命保険会社の営業の人から「アンケートのお願い」という件名でメールが来たとします。
そのメールの文末が「メールでかまいませんので、下記の事項に、至急、ご回答をお願いいたします」とあれば、イラッとしますよね。
これは、相手が本来、こちらの協力を仰ぐ立場にもかかわらず、自分の都合を押し付けているため、不快感を覚えるのです。
このような場合には、「相手の協力を仰ぐ立場」であることを自覚して、自分の都合を押しつけず、ソフトにお願いする必要があります。
あくまで 「手間をかけて申し訳ない」という態度を貫き、相手のメリットを書きそえることで、協力を仰ぎましょう。
また、もし期限を示す場合には、その理由を書きそえます。
先ほどの例でしたら、たとえば「6月2日(金)までにアンケートをお答えいただいた方には、特製のノベルティ・グッズをプレゼントいたします」などとあれば、期限を示す必然性ができるでしょう。
イラッとさせない書き方❸ 「必要な情報が足りない」メールを防ぐ
メールでやりとりする際に、必要な情報が書かれていないとやはりイラッとするもの。
たとえば「書類を郵送してほしい」と依頼しておきながら、住所が書かれていないと、ホームページや名刺を調べたりと余計な手間がかかります。
それでもわからなければ、メールで住所を尋ねるなど、やりとり自体が増えてしまいます。
必要な情報が足りない理由は、主に次の2つです。
❶そもそも自分が情報を整理しきれていない
❷「相手が必要な情報」を把握できないので的確な取捨選択ができない
対策としては、❶「文章があいまい」なメールを防ぐに通じるものがありますが、メールを書く前の情報整理が挙げられます。
特に、「相手が必要な情報」を意識して、情報を整理してみてください。
「書類の郵送を依頼するなら、自社の住所が必要だな」
「面会をお願いするなら、候補の時間と場所も書いておこう」
などと必要な情報をイメージして書けば、「追加の質問」が不要なメールになるはずです。
イラッとさせない書き方❹ 「読みづらい」メールを防ぐ
「読みやすさ」に気を配っていないメールは、受信しても読む気が起きないもの。
読みづらさで相手をイラッとさせてしまうこともあるのです。
読みやすいメールにするための工夫はいくつもありますが、ここでは基本中の基本、1行あたりの文字数を減らすことの重要性をお伝えしましょう。
メールは1行あたりの文字数が多いと文字がギッシリつまった画面になり、読み手を戸惑わせます。
そのため、適度に改行して、読みやすいレイアウトを目指しましょう。1行の“適度”な文字数は20〜30文字です。
ただし、メールを書くときに、いちいち文字数を数えていては手間がかかります。
そのため、おおむね「一息で言い切ることができるギリギリが30文字」と換算してみてください。
少しゆとりをもって言い切れる長さを目安に、文章を改行します。
「長い1行より、短い2行にする」という心がけで、1行を短くするとよいでしょう。
イラッとさせない書き方❺ 「文章が攻撃的」なメールを防ぐ
「文章が攻撃的」なメールには、「自分の怒りを表現しようとしている」ケースと、「攻撃しているつもりはないのに攻撃的になっていた」ケースがあります。
いずれにしろ、攻撃的なメールは感情の行き違いを生むだけです。
❶「文章があいまい」なメールを防ぐでもふれましたが、メールを書くのには「目的」があります。
そして、その目的は、相手と衝突することではありません。
たとえ意見の相違があっても、理解をし合うためにメールを書くことを忘れず、ソフトに伝えましょう。
これは、相手に非がある、ないに関係ありません。
たとえば「納品された商品に欠陥があった」というケースでも、自分の怒りをぶつけてしまうと、相手との関係が余計にこじれてしまいます。
ここでメールを書く「目的」は、「代替の商品を納品してもらう」こと。
相手を責めるのではなく、いつまでに代替品を納品してもらえそうか、冷静に確認しましょう。
どのようなトラブルに巻き込まれても、メールの目的を思い出せば、感情をぶつける必要はないことに気づくはずです。
仕事のメールはどうしても「自己流」になりがちです。
もちろん、普段相手からもらったメールを見て学ぶのも大事ですが、その前に体系的な「ビジネスメールの正解」を身につけてください。
正しい書き方・送り方を身につければ、メールはあなたの仕事にとって、力強い武器になるはずです。