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冷蔵庫もテレビも財布もいらない。好きなことに集中するためのミニマリスト生活とは

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月7万円の生活費、冷蔵庫もテレビも財布も持たない、1日1食、服は全8着……。ミニマリストしぶさんの暮らしを聞くと、「我慢の生活」を想像する人も多いかもしれません。でも実際は、生活の無駄や疲れる決断を減らし、好きなことに集中するための工夫が詰まった部屋。「お金と時間のゆとりが欲しい」という誰もが抱く願いから生まれた生活だといいます。

2024年10月7日に発売された『新版 手ぶらで生きる。見栄と財布を捨てて、自由になる50の方法』(サンクチュアリ出版)は、2017年に発売され、Amazonベストセラー1位を記録、海外2カ国でも翻訳された著書の文庫版。19歳でミニマリストになってから11年、30歳を迎えたしぶさんに、その暮らしの哲学を聞きました。

この記事は書籍『 新版 手ぶらで生きる。 見栄と財布を捨てて、自由になる50の方法 』の関連コラムです。

裕福な家庭から自己破産へ。お金がなくても一人暮らしをしたい一心で、ミニマリストへ

――しぶさんがミニマリストになったきっかけを教えてください。

僕はもともと物がすごく多い家庭に育ったんです。周囲からも「お金もちのボンボンだね」と言われるようなとても裕福な家庭で、「これがほしい」といえばなんでも叶えてもらえるような環境。ミニマリストどころか、マキシマリストの家で育ちました。

――それは意外です。そこからなぜミニマリストに興味を持つようになったのでしょうか?

中学のころ、父親の自己破産が原因で両親が離婚してしまって、シングルマザーとなった母との二人暮らしがはじまりました。でも、当時はとにかく貧しく、裕福だったころとのギャップに慣れることができなくて、「なんて不幸なんだ」といつも自分の境遇を呪っていたんですよ。

「幸せな人生に必要なのは金」と思い込み、そのために努力したものの、大学受験の失敗を機に、人生諦めモードになっていきました。

――辛い日々が続いたんですね。

当時を振り返れば、自分と他人を比べてばかりいて、見栄っ張りのクズだったと思います(笑)。目指していた大学進学を諦め、フリーターを続けるなかで、次第に一人暮らしをしたいと思うようになりました。

ただ一人暮らしをしようにも、収入が少ない。少ないお金で暮らす方法をネットで調べていたところ、冷蔵庫を持たないどころか、電子レンジや洗濯機、テレビなど、一般的に必要とされる家具や家電をいっさい持たずに生活する人のブログにたどり着いたんです。

「こんなに少ない持ち物で、こんなに幸せそうに生活できるんだ!」と衝撃を受けると同時に、その生き方に強烈に惹かれていきました。

――それが、しぶさんがミニマリストとなるきっかけになった出会いだったんですね。

そこからすぐさま、自分の持ち物を処分していきました。念願の一人暮らしをはじめてからも、生活費をなるべく抑えるために、家賃2万円の4畳半のワンルームに住んで、床で寝る生活スタート。

部屋にはベッドはおろか、冷蔵庫も電子レンジもテレビもない。本当に必要最小限のものだけ。当時は服が好きでリボ払いで買ったりしていたのですが、全部手放しましたね。それが19歳のとき、今から11年前のことです。

――ベッドや冷蔵庫まで…!物を減らすことに苦しさはなかったのでしょうか?

不思議なことに、物を減らせば減らすほど、自分の境遇を受け入れられるようになっていったんです。自分の現状に対して「なんて不幸なんだ」という執念を燃やしていた自分が、物を手放すことで、どんどん満たされていって。

その感動をもっと多くの人に伝えたいという想いで、ミニマリストの暮らしについてブログに書いてたら、たくさんの方に読んでいただけるようになり、現在の活動に繋がっていきました。

「いくらあれば生きていけるか」を知れば、お金の不安がなくなる

――ミニマリストの生活に出会ってから11年経った現在、しぶさんはどんな生活をされているのでしょうか?

今もワンルームで暮らしています。以前と変わったことといえば、床で寝ていたところベッドへ、そして今は寝袋で寝るようになったこと。あとはプロジェクターやお掃除ロボットを使うようになったことでしょうか。

――その暮らしぶりだと、生活費はかなり抑えられそうですね。

福岡で暮らしていた独立当初の生活費は、家賃2万円に加えて、水道費2,000円、電気代2,500円、ガス代1,500円、食費2万円……という感じでした。

我慢して生活しているように見られることもありますが、節約というより倹約をしているんです。今の社会にはスマホやインターネットの普及により、低価格・無料で使えるサービスや娯楽はたくさんあるから、情報を集める能力と適切な工夫があれば満足して暮らせます。

――「いくらで生きていけるか」を知ることが大事なんですね。

そうです。「これだけあれば生きていける」という指標ができると、お金の不安から本当に自由になれるんです。自分が1ヶ月に必要な額を把握しているから、漠然とした不安がないんですよね。

服も家電も食事も、最小限の生活。モノ選びの基準とは?

――倹約されているしぶさんの部屋に、プロジェクターやお掃除ロボットなど、高価な製品があるのが意外でした。ものを買ったり、所有したりするときの基準はあるのでしょうか?

自分の好きなことに時間を使うためのものは買います。お掃除ロボットやドラム式洗濯乾燥機は、無駄な手間を減らすため。僕がプロジェクターで大好きなゲームやアニメを楽しんでいる間に、家事が終わっている。我慢するのではなく、好きなことに集中するための工夫なんです。

逆に一般的に必要とされている冷蔵庫やテレビは今も持っていません。僕は1日1食生活をしているので、その日食べるものはその日買ってきます。そのほうが新鮮でおいしいですし、冷蔵庫は必要ないんです。

――食事まで最小限にされているんですね。

夕方に1食だけの暮らしをはじめて、ずいぶん経ちますね。空腹の時間が気持ちいいんですよ。食事を準備する時間も浮いて、食後に眠くなることもないので、集中力も上がりました。空腹は最高のスパイスです。

テレビに関しても、今は自分が好きな作品はサブスクでまとめて見られるので、興味のないコンテンツを流し見する必要がない。受け身で時間が奪われる感覚から、自発的に楽しむ感覚に切り替わりました。

――服装も黒で統一されていて、とてもシンプルですよね。

ほぼ「制服」として毎日同じ服を着ています。季節の変化にも対応できるよう厳選した全8着の衣類だけで、色もすべて黒。毎日同じ服を着ることで、朝の「何を着るか」を考える時間もなくなって、決断に疲れることがなくなりました。

持ち物でいうと、お財布ももう長年持ってないです。スマホの裏にカードケースをつけていて、それだけで外出できます。現金やポイントカードも持っていません。「ポイントカードお持ちですか?」って聞かれるのが苦手ですべて手放しました(笑)。

――それだけ徹底されていると、モノを買うハードルがどんどん上がりそうですね。

「ほしい」と思ったものは意外とさっさと買ってしまいます。悩む暇があったら試してみて、必要ないと思えばすぐに手放すようにしているんです。

よく吟味したうえで、「買う」と「手放す」のサイクルを回していると、自分にとってなにが必要かが明確になっていくので、余計なものを買わなくなっていきます。

また、実際に買い物をするときは流行の限定品ではなく、長く売られている定番品を選ぶようにしています。定番品が、長く愛されているということは、それだけ価値があるということですから。

さらに、物を買うときには「これをどう手放すか」も考えるようにしています。売れるのか、誰かに譲れるのか。メルカリなども活用していますよ。

――ただ買うだけでなく、手放すことも想定しておくんですね。しぶさんは、そもそも物欲はあまりないんでしょうか?

あまりないかもしれませんね。YouTubeで年に1回「買ってよかったもの」を紹介する動画を出しているのですが、去年は出せませんでした。物をあまり買っていなくて、紹介できるものがなかったんです(笑)。普段の買い物も、仕事で使うiPhoneを年に1回買い換えるくらいです。

形に残らないものに惜しまず投資し、人生を豊かに

――ちなみに、そうして浮いた時間やお金は、何に使っているのでしょうか?

旅行や食事など、形に残らないものには惜しまず使うようにしています。それと、最近は歯列矯正をしているのですが、美容や健康に関してはしっかり投資していますね。

美容にお金をかけるのは、自分の身体に投資したいからです。見た目がよくなると、自分に自身が持てるようになって、周囲からの印象もよくなりますし、ケアにかかるコストも減ります。

――健康に気を使っているのも同じ理由ですか?

そうですね。病気や不調の「予防」にお金と時間をかけるべきだと考えているので、運動は日常的にしています。1日1万歩は歩きますし、自宅で懸垂や腕立てもやります。

ジムにも時々通っていて、筋トレ後にはプロテインも飲んでいます。意識して生活しているわけではない方よりも、かなり健康なほうだと思いますね。

――こうしてしぶさんのお話を聞いていると、心身ともに健康的で、自分も少しずつミニマリズムを取り入れていきたい気持ちになります。

僕みたいに極端にミニマリストにならなくていいんです。ただ、「本当に大切なものは何か?」を考えるきっかけとして、一度、自分の持ち物を見つめ直してみてほしいと思っています。そこから何かが見えてくるかもしれません。

 最小限の荷物で最大限の自由を

新版 手ぶらで生きる。 見栄と財布を捨てて、自由になる50の方法』は、自分で選び抜き、本当に豊かな人生を送るための「手ぶら」のススメを紹介しています。モノやお金に縛られない生き方をしたい方は、ぜひ参考にしてみてください。

この記事は書籍『 新版 手ぶらで生きる。 見栄と財布を捨てて、自由になる50の方法 』の関連コラムです。