「優秀だった部下が急にやる気をなくしてしまった、どう対処すればいいの?」
「部下のモチベーションが下がって、チーム全体の雰囲気も悪くなってきた…」
以前は積極的で優秀だった部下が急にやる気を失ってしまう状況は、管理職にとって深刻な悩みです。
この記事では、以下の内容について詳しく解説します。
- 部下のやる気が急になくなる3つの原因
- やる気を失った部下への効果的な対処法5選
- 上司が避けるべき3つのNG対応
部下のやる気低下には必ず原因があり、適切な対処により改善できます。放置すると退職リスクや他メンバーへの悪影響につながる一方で、正しく対応すればチーム全体のパフォーマンス向上につなげられるでしょう。
管理職として部下のモチベーション管理に悩んでいる方は、ぜひ最後まで読んでみてください。
目次
部下のやる気が急になくなる3つの原因

部下のやる気が急になくなる原因は、主に以下の3つに分類されます。
- 業務量と評価のバランスが取れていない
- 人間関係のストレスが限界に達している
- 仕事に対する意義ややりがいを見失っている
それぞれ詳しく見ていきましょう。
業務量と評価のバランスが取れていない
優秀な部下への過度な業務集中は、やる気低下の最も一般的な原因です。能力の高い部下ほど、「この人なら任せられる」という理由で次々と仕事を振られがちになります。
しかし、業務量の増加に見合った評価や報酬が得られないと、部下は不公平感を抱きます。同じ給与でありながら、他のメンバーより明らかに多くの仕事を任されている状況では、モチベーションの維持は困難です。
- 緊急案件や難易度の高い業務ばかり任される
- 他のメンバーの分まで残業でカバーしている
- 昇進や昇給の機会が他のメンバーと変わらない
- 頑張りを当然視され、感謝の言葉もない
頑張りに見合わない給与・昇進機会に直面した部下は、努力が報われないという失望感を抱きます。特に成果主義の組織であっても、評価基準が不透明だったり、上司の主観に左右されたりする場合、部下の不満は蓄積されていくでしょう。
人間関係のストレスが限界に達している
職場の人間関係は、部下のやる気に直接影響を与える要因です。上司や同僚との関係悪化は、日々の業務にストレスをもたらし、徐々に部下のモチベーションを削いでいきます。
特に以下のような状況では、部下のストレスは深刻になります。
- 上司からの理不尽な叱責や批判
- 同僚からの嫌がらせや無視
- チーム内での派閥争いに巻き込まれる
- コミュニケーション不足による誤解
チーム内での孤立感も深刻な問題です。周囲との関係が悪化し、相談相手もいない状況では、部下は一人で問題を抱え込んでしまいます。この状態が続くと、職場に行くことすら苦痛に感じるようになるでしょう。
仕事に対する意義ややりがいを見失っている
単調な業務の繰り返しは、部下の仕事に対する興味を削いでしまいます。同じような作業を毎日続けることで、仕事への新鮮さや達成感を感じられなくなり、やる気が低下していくのです。
特に以下のような状況では、部下はやりがいを見失いがちです。
- ルーティンワークばかりで変化がない
- 自分の裁量で進められる業務がない
- 新しいスキルを習得する機会がない
- 業務の全体像や意味が見えない
他にも、昇進の見込みがない、転職市場での価値が分からない、将来のビジョンが描けないといった状況では、日々の業務に対するモチベーションも下がってしまいます。
やる気を失った部下への効果的な対処法5選

やる気を失った部下への対処は、早期の適切な対応が鍵となります。以下の5つの対処法を段階的に実践していきましょう。
【対処法1】安心できる環境で個別面談を実施する
まずは、プライバシーが確保された場所での対話から始めましょう。会議室や個室など、他のメンバーに聞かれる心配のない環境を選ぶことが大切です。オープンスペースでの面談は、部下が本音を話しにくくなる原因となります。
面談時には、以下の点に注意してください。
- 十分な時間を確保する(最低30分以上)
- 電話やメールの対応は控える
- リラックスできる雰囲気作りを心がける
- 部下のペースに合わせて話を進める
「話を聞かせてほしい」という姿勢で臨むことが最も重要です。説教や指導ではなく、まずは部下の状況を理解することに集中しましょう。上司として解決策を提示したい気持ちは分かりますが、まずは部下の気持ちを受け止めることから始めてみてください。
【対処法2】傾聴に徹して部下の本音を引き出す
話し合いでは、否定せずに最後まで話を聞く姿勢が必要です。部下が話している内容に対して、「それは違う」「考えすぎだ」といった否定的な反応は避けましょう。まずは部下の気持ちや考えを完全に受け止めることが大切です。
- 相槌を適切なタイミングで打つ
- 「それは大変だったね」など共感の言葉をかける
- 「もう少し詳しく聞かせて」と深掘りする
- 感情に焦点を当てた質問をする
共感の言葉を投げかけることにより、部下は安心して本音を話せるようになります。
【対処法3】業務負担を見直して適正な配分に調整する
面談で部下の状況を把握したら、現在の業務量を客観的に把握しましょう。部下が担当している業務をリストアップし、他のメンバーと比較してみてください。
優秀だからといって一人に負担を集中させるのではなく、チーム全体で業務を分担する仕組みを作りましょう。公平性の確保は、チーム全体のモチベーション向上にもつながります。
【対処法4】小さな成功体験を積み重ねる機会を作る
やる気を失った部下には、達成しやすい目標設定から始めることが効果的です。大きな目標を設定しても、現在の状況では達成が困難で、さらなる挫折感を生む可能性があります。
- 1週間程度で完了できる小さなタスクを設定
- 部下の得意分野を活かせる業務を選ぶ
- 成果が目に見える形で現れる業務を優先
- チームメンバーから感謝される業務を選ぶ
加えて、成功時の適切な評価とフィードバックも欠かせません。小さな成功であっても、具体的に何が良かったのかを伝え、部下の自信回復を支援しましょう。
【対処法5】定期的なフォローアップで継続的にサポートする
一度の面談で、問題がすべて解決するわけではありません。週1回程度の短時間面談を継続し、部下の状況を定期的に確認しましょう。
- 業務負担の改善状況
- モチベーションの変化
- 新たな悩みや課題の有無
- 目標達成の進捗状況
状況が改善しない場合や、うつ病などの可能性が疑われる場合は、専門機関への相談提案も検討してください。産業医や外部のカウンセリングサービスなど、適切な支援につなげることも上司の重要な役割です。
上司が避けるべき3つのNG対応

部下のやる気低下に対して、やってはいけない対応があります。以下の3つのNG対応は、状況をさらに悪化させる危険があるため注意が必要です。
【NG対応1】問題を放置して様子見を続ける
部下のやる気は自然に回復することは稀で、放置すると以下のように問題が深刻化する傾向があります。
- 部下の退職リスクが高まる
- うつ病などの精神的な病気に発展する可能性
- 業務品質の低下
- 顧客や取引先への悪影響
また、他のメンバーへの悪影響拡大も深刻な問題です。一人の部下のやる気低下が放置されると、チーム全体の雰囲気が悪くなり、他のメンバーのモチベーションにも影響を与えます。
【NG対応2】表面的な励ましで済ませてしまう
「頑張って」「気持ちの問題」等の無責任な声かけは逆効果です。部下が深刻な悩みを抱えているときに、表面的な励ましは「理解してもらえない」という失望感を生みます。
失望感が、部下の心理的負担をさらに増加させる危険もあります。「頑張れない自分はダメだ」という自己否定感を強めてしまい、状況をより深刻にしてしまうでしょう。
【NG対応3】他の部下の前で指摘や説教をする
公開の場での注意は逆効果です。他のメンバーがいる前での指摘や説教は、部下のプライドを傷つけ、関係悪化を招きます。
周囲への見せしめ効果を狙った間違ったアプローチは、チーム全体の心理的安全性を脅かします。他のメンバーも「自分も同じように扱われるかもしれない」という不安を抱き、チーム全体の雰囲気が悪化してしまうため、注意が必要です。
まとめ:部下のやる気低下は早期発見・適切対応で必ず改善できる

部下のやる気低下は、管理職にとって避けては通れない課題です。しかし、原因を正しく理解し、適切な対応を取ることで必ず改善できます。
早期発見のポイントは、日頃から部下の様子を観察し、小さな変化にも気づくことです。業務への取り組み方、表情、同僚との関わり方などに注意を払いましょう。
部下と打ち解けられたら、読みやすい書籍をプレゼントすることもおすすめです。
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