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因果応報のゲーム理論的再構築
以下のようなモデルを立ててみます:
・善行→そのとき本人にはコスト(−1)があるが、d世代後に報酬(+2)がある。
・悪行→そのとき本人には報酬(+1)があるが、d世代後に罰(−2)がある。
このとき、報酬が遅れると人はその価値を低く感じます。
これを数式では「割引率(δ)」という概念で扱います。
・δ = 0.8 とすれば、1世代遅れるごとに報酬の価値は 80%に減衰します。
つまり、2世代後なら 0.8^2 = 0.64 の価値として感じられるわけです。
数式で整理すれば:
善行の現在価値= −1 + 2 × δ^d
この善行の現在価値がプラスになるような d(因果応報がくる世代) を探すことで、「善行が合理的に選ばれるタイミング」が分かります。
たとえば δ=0.8 のとき、d=2では:
U = −1 + 2 × 0.8^2 = −1 + 2 × 0.64 = −1 + 1.28 = 0.28(プラス)
つまり、「ちょっと損してでも、善いことをする」ことが、ちゃんと意味がある設計になっているのです。




· d=1:善行の現在価値= 0.6(非常に高いが偽善の可能性あり)
· d=2:善行の現在価値= 0.28(信じられる善)
· d=3:善行の現在価値≈ 0.02(ギリギリ信念で保たれる)
· d=4〜6:善行の現在価値 < 0(割に合わないと感じやすい領域)
d=1(すぐ報いが返る)ならば、計算上は善行の現在価値がさらに大きくなりますが、それは“ご褒美のための善行”を生み出しやすくなり、信念としての善を腐らせるリスクがあります。ご褒美が欲しくて偽善しかしなくなる状態です。
逆に d=4 以降になると、δ^4 = 0.4096、U = −1 + 2×0.4096 = −0.1808 とマイナスに転じ、人々は「善行をしても報われない」と感じ、利己的行動へと傾いていそうです。だからこそ、「因果応報は2〜3世代で返ってくる」設計が善人を増やすのにちょうどよいのかもしれません。
※なお、このコストと報酬の数値設定を多少変えても、基本的な傾向は同じでした。
なぜ善人の家系は“なんとなく運が良い”のか?
なぜ悪人の家系は“理由のわからぬ不幸”に見舞われるのか?
それは、この世界の設計者が「多くの美しい知」を観測するために、「善人を増やすための合理的なアルゴリズム」を設計しているからなのかもしれません。
あなたが今日ひとつ良いことをしたならば、それはあなたの子孫に「奇跡」として届くかもしれない。この世界は、善意のアルゴリズムによって緻密に設計されているのかもしれません。因果応報とは恐怖の仕組みではなく、「未来を信じる力」を育てる、精緻に設計された世界のルールなのだと、私は信じています。
赤井カラス。占い師。自身のことを占ったところ「大勢の人を占いなさい」という結果が出たため、2023年4月より紹介制を撤廃して活動開始。現在予約待ち2,000人以上。 X:https://x.com/akaikarasu666 占いサブスク:https://fanclove.jp/club/akaikarasu666