アメリカ人の女性が、10歳の息子を亡くし、その悲しみの思いを綴った詩です。ところが、この詩が9.11同時多発テロの追悼集会で朗読され、とても大きな反響を呼び、瞬く間に世界中に拡散されました。この詩の素晴らしさは日本にも伝わり、感動した佐川睦さんが著者の許可を得て和訳し、ご自分のサイトで掲載すると、日本でもたちまち話題になり、書籍化されました。
「最後だとわかっていたなら」 あなたが眠りにつくのを見るのが あなたがドアを出て行くのを見るのが あなたが喜びに満ちた声をあげるのを聞くのが あなたは言わなくても たしかにいつも明日はやってくる そして わたしたちは 忘れないようにしたい 若い人にも 年老いた人にも 明日が来るのを待っているなら 微笑みや 抱擁や キスをするための だから 今日 「ごめんね」や「許してね」や
作・ノーマ コーネット マレック / 訳・佐川 睦
最後だとわかっていたら
わたしは もっとちゃんとカバーをかけて
神様にその魂を守ってくださるように
祈っただろう
最後だとわかっていたら
わたしは あなたを抱きしめて キスをして
そしてまたもう一度呼び寄せて
抱きしめただろう
最後だとわかっていたら
わたしは その一部始終をビデオにとって
毎日繰り返し見ただろう
分かってくれていたかもしれないけれど
最後だとわかっていたら
一言だけでもいい・・・「あなたを愛してる」と
わたしは 伝えただろう
でももしそれがわたしの勘違いで
今日で全てが終わるのだとしたら、
わたしは 今日
どんなにあなたを愛しているか 伝えたい
明日は誰にも約束されていないのだということを
愛する人を抱きしめられるのは
今日が最後になるかもしれないことを
今日でもいいはず
もし明日が来ないとしたら
あなたは今日を後悔するだろうから
ほんのちょっとの時間を
どうして惜しんだのかと
忙しさを理由に
その人の最後の願いとなってしまったことを
どうして してあげられなかったのかと
あなたの大切な人たちを
しっかりと抱きしめよう
そして その人を愛していること
いつでも
いつまでも 大切な存在だということを
そっと伝えよう
「ありがとう」や「気にしないで」を
伝える時を持とう そうすれば
もし明日が来ないとしても
あなたは今日を後悔しないだろうから
最後だとわかっていたなら
ノーマ コーネット マレック(著)/佐川 睦(訳)
1000円+税
9.11同時テロの後、アメリカで朗読され、世界中が涙した感動の詩。