目次
疑惑のキスマーク
それは、亜嵐くんの家にお酒を持って遊びに行った時のことでした。
亜嵐「くしゃ美ちゃん、どうぞ上がって~」
そう言う亜嵐くんの首元…
――ん?アレって…バンソーコー?
亜嵐くんの首元には、明らかに不自然な形でバンソーコーが貼られていました。
コレって…いわゆる「キスマーク」隠しじゃ…?
私「亜嵐くん、ココ…どうしたの?」
私が首元を指すと
亜嵐「あ~まぁ…」
あーら、歯切れの悪い返事だこと!
私「それってもしかして…キスマーク?」
亜嵐「ん~…いや、何かこの間 友達と飲んでる時に、そいつの女友達みたいな子が何人か途中から来てさ。王様ゲーム的なことが始まって、王様の命令でつけられた、みたいな…?」
何か…事前に考えてましたって感じのセリフ。言い訳っぽくない?嘘くせー。
私「ふ~ん…」
とは言え、彼女でもない私に、そこまで強く彼を責める権利はないわけで。
その話はそれで終わりました。
その後、ヤることヤって、安らかな眠りについた亜嵐くん。
この人、1回寝るとまじで起きないんだよな…。
さ――て!!
私は亜嵐くんのスマホをそっと充電器から抜き、彼の親指を拝借して、ロックを解除しました。
キスマーク、どう考えても怪し過ぎなんだよ!絶対、他に女いるだろ!
私は亜嵐くんのLINEを開いてスクロールしていきました。
絶対に証拠、見つけてやるからな!
そして
「…え?」
LINEの履歴に、私は予想もしていなかった名前を見つけました。
ミナ…?
都合のイイ女
え?ミナと亜嵐くん、個人的に連絡とってたの?
そんなこと、ミナは一言も言ってなかったけど…
私は恐る恐る、ミナとのトークルームを開いてみました。
すると…
最初の履歴は、4人で飲んだあの日の夜。
帰ってから10分ほど電話をしたらしかった。
電話をかけたのは…ミナからだ。
その1週間後。
ミナは都心から少し離れたところに住んでいるので、基本的に車移動が多い。
亜嵐くんの家で鍋パやってお酒飲むってなったら……車で帰れないよね?
え、絶対泊まってるじゃん、コレ。
ヤってんだろ、確実に。
さらに翌週。
え?待って。この日付って…
2回目のデート、私が予定があって断わった日じゃん!
時間的に、私に断られてすぐに誘ってる。
その後も、週に1~2回くらいのペースで、亜嵐くんが突然呼び出す形で、2人は会っていました。
何か…どんどん扱いが雑になってない?
こんなこと言うのアレだけど…これ、完全に「都合のイイ女」なんじゃないの?
恐らくミナは、亜嵐くんのことが本当に好きなんだと思う。
でも、亜嵐くんは…「呼べばヤらせてくれる女」くらいにしか思ってなさそう…。
私は、亜嵐くんにとってどうやら自分の方がミナより優先順位が高いらしいという優越感と、自分の親友がクズ男に都合よく扱われていることへの苛立ちとで、複雑な気持になっていました。
LINEを最近のものまで遡ると、どうやら最後に会ったのは2日前。
キスマークはその時につけられたんだろうな。
最新のやりとりは今日、私がお風呂に入ってた間みたいでした。
…なるほど。
明日の15時。
ミナが亜嵐くんを迎えに来るわけね?
私はランチの予定があるので、11時くらいに帰ると亜嵐くんに伝えてたんだけど……呑気にランチしてる場合じゃねぇ!
亜嵐くんにはもちろんだけど、隠れて亜嵐くんと関係をもっていたミナに対しても、少なからず怒りは感じていました。
明日、問い詰めてやる!
シュラバ
翌日。
私はいったん予定通り、11時頃に亜嵐くんの家を後にしました。
友達には電話で事情を話して、ランチは延期してもらうことに(ごめん友達)
14時45分。
私はまた亜嵐くんが住むマンションの前に戻って来ました。
ちょうど目の前にコンビニがあったので、そこで待つことに。
たぶん、もうすぐミナが亜嵐くんを迎えにくるはず。
そこを抑える!
そして、14時55分。
私も何度も乗せてもらったミナの車が、駐車場に現れました。
少しして、マンションの玄関から、亜嵐くんが――!
私はコンビニから飛び出し、ミナの車に乗り込もうろする亜嵐くんに声をかけました。
「亜嵐くん!」
「!?」
亜嵐くんは、せっかくのイケメンが台無しになるくらい顔を歪めて
「え、なん、え、くしゃ美ちゃん?」
と慌てふためいていました。
ミナはというと…
運転席なので表情はイマイチ読み取れませんでしたが、特に焦っている様子もありませんでした。
「ミナ、ちょっと出てこれる?」
運転席に声をかけると、ミナは無言でエンジンを切り、車の外に出てきました。
「や、くしゃ美ちゃん。違うくて、あの、たまたまちょっと買い物に付き合ってもらうことになっただけっていうか…」
何やらごにょごにょ言ってる亜嵐くん(キモイ…)
私の親友にも平気で手を出してたとか、マジでドン引きだし。
もういらないんだよ、オマエ!
「いいよ、もう!全部知ってるから!」
私がそう叫ぶと、亜嵐くんは観念したのか、押し黙ってしまいました。
私はミナの方に向き直って、問いかけました。
「ミナ、亜嵐くんと2人で会ってたんだね。何で話してくれなかったの?」
親友だと思ってたのに…。
私は怒りと悲しみで、泣きそうになるのを堪えながら言いました。
ミナ「…くしゃ美だって、彼氏いるのに亜嵐くんと会ってたんじゃん。自分だけ清廉潔白のつもり?」
!!!
「え!?」
驚いた顔で私を見る亜嵐くん。
あぁ……そっか。
何か納得した。
ミナからすれば、彼氏がいるくせに、自分が気に入っている亜嵐くんのこともしっかり囲ってて、私の方がヒドイ女に映っていたのかもしれない。
確かに、私にミナを責める資格はないかもな…。
私「それは…確かにそうだね……ごめん」
ミナ「……」
それからしばらく、誰も口を開かない、嫌な時間が流れました。
本当はもっと色々聞きたいこと、問い詰めたいことあったのに、親友に刃を向けられたことが、私にとっては思ったよりショックだったらしく。
何も言葉が出てきませんでした。
私「……私、帰るね。亜嵐くん、もう連絡しないし、してこないでください。さようなら」
亜嵐「あ…うん……」
こうして、静かな修羅場は幕を閉じました。
この日以来、私はミナへの連絡を絶ちました。
共通の友人も多いので、どこかでまた会うこともあるかもしれないけど、できればもうお互いに関わらない方がいいのかもしれない、と思っています。
バイバイ、亜嵐くん(←忘れてた)
バイバイ、ミナ。
今回のことを、いつか笑い話にして話せる日が来るといいね!
最後までご覧頂き、ありがとうございました。
私のアプリ体験談が「これからマッチングアプリを始めようかな?」という方や「マッチングアプリを使っているけどうまくいかない!」という方の参考になれば、とっても嬉しいです!
読んでくださった皆様(と私)に、素敵な出会いが訪れますように~♪
(画像提供:iStock.com/Prostock-Studio, iStock.com/kazuma seki)
くしゃ美 恋愛小説家・ライター。ガケっぷちの37歳独身OL。 実体験をもとにした恋愛小説が全国東映系にて映画化!過去のどうしようもない恋愛や遊びまわっていた時代の経験などを活かし、恋愛ライターとしても活躍中。 最近の日課は、彼氏にフラれた勢いで始めたマッチングアプリにメッセージを返すこと。スマホを操る親指使いだけが日々極まっていく。誰か助けて(絶賛彼氏募集中) ◆くしゃ美のSNS◆ 【恋愛の教科書】https://zooblog1.com/ren-ai/ 「彼の気持ちが知りたい!」悩める女性のための恋愛ノウハウ総合サイト ↑無駄に多い過去の恋愛経験から学んだ恋愛ノウハウを、惜しみなく掲載しています! 【TikTok】tiktok.com/@kushami_ 恋は女を強くする! ↑「元カレ以上の男性が必ず現れる理由」など、恋愛に悩む女性へのエールを中心に投稿しています!