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ネットで勝ち抜く! ちょっとしたことで差がつく最強の文章術/尾藤克之(@k_bito)

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影響力を高めるために

いつから書きはじめたの?

私が書きはじめたのは2005年頃。ブログからスタートし、人材系の専門誌や、組織関係の学会誌での活動を経て、ニュースサイトやビジネス系のサイトで執筆するようになりました。書き手としてのキャリアは20年ほどあります。

10年ほど前、ビジネス系のサイトは週1、月に3〜4本しか書く機会がなかったので、毎日書きたかった私はオピニオンサイトのアゴラ(言論プラットフォーム)いう媒体で書きはじめました。毎日発信するなかでバズったのも失敗したのもあり、いい経験になっています。また、他の執筆者にはアクの強いメンバーが揃っており、とても鍛えられました。

当時、アゴラの記事はYahoo!ニュースにも載っていたのですが、時事問題のオピニオン記事を書いても競合が多すぎる。そこで私が書いたのがブックルポです。当時、書評を載せている人は日本でいなかったのです。これがバズりました。

大ヒットを生み出す方法

2017年4月10日出版の『「死ぬくらいなら会社辞めれば」ができない理由』という本は、「自殺を抑制する社会的ニーズがある」と考え、発売前に8回も書評を掲載。他の書評家やブロガーらが記事にする前に認知度を高め、ランキング上位に押し上げることに成功しました。

すると、主要媒体から取材が殺到し、1週間で2万部、6カ月で10万部を突破。現在は12万部です。これは、出版前から仕掛けた稀有な事例ですね。

内容をアレンジする

ニュースサイトには載せられない内容というものがあります。たとえばスピリチュアル、占い、アダルト系は原則不可です。さて、親しい出版社から「発売して2週間経ったが、売り上げがよくない」と、スピリチュアル系の本を謹呈されました。どのようにアレンジ、つまり、どのような情報を担保すれば載せられると思いますか?

これは、『しあわせを呼ぶお金の運の磨き方』という風水の本の話なのですが、私は「間違いだらけの占いや風水、黄色い財布で金運アップは嘘?」という記事を書きました。「長財布や黄色い財布を持つといい」というのは、日本だけの特異な解釈らしいんです。風水の本場である台湾や中国では、政治家お抱えの風水師がいたり、大学もあったりして、かなり地位が高い。

こうした情報を教えてもらって、本場と日本との違い、「日本の風水は甘くていい加減だ」という記事にしたんです。この記事もバズりまして、本は3万部くらい売れました。

勘所を鍛える

『オシリを洗うのはやめなさい』という本があります。著者は、日本に20人しかいない女性肛門科医。私が書いた記事のタイトルは「今日のテーマは『肛門』。悩んだら洗ってはいけないと専門家」。これもバズりました。記事を書くのに慣れてくると、書名だけ見て「いける、料理できる」とわかるようになってきます。

どんなネタも高PVに

2014年頃、「彼氏にしてはいけない3B」というのが話題になりました。収入に安定性のないバンドマン、バーテンダー、美容師は、彼氏にしないほうがいい、というものですね。そこで私は「『つき合ってはいけない3B』は嘘!つき合うなら美容師がいい」という記事を書きました。

これを書いたのはBLOGOSという媒体ですが、まず、オピニオンサイトにこんなことを書く人はいないので目立ちました。そして、3Bに序列をつけたのが面白かったようです。人数が多い美容師が優位だと言い切り、実際に美容室を経営している人に取材したのもよかった。

この頃は、「どんな記事でも売れる」という自信がありました。勘所が鋭くなって料理の仕方がわかると、どんな内容でもアイデアが浮かぶようになります。

プロデューサーになる

知人にリッキー徳永というニューヨーク弁護士がいます。小室圭さんと眞子さんの話題の際は、実際にニューヨーク弁護士として活躍している彼に話を聞くと、毎回、その記事はランキング上位に入りました。

また、カルロス・ゴーン氏が会見をした際には、どんな内容で話すかを彼にシミュレーションしてもらい、会見前に7割方原稿ができ上がっていた。そして、会見が終わるとニュースサイトに速報で掲載。他媒体が「会見終わる」程度の速報しか出せないなか、踏み込んだ内容を書き込むことで、狙い通りYahoo!ニュースでアクセス総合1位になりました。

その後、リッキーは売れ、メディアにも引っ張りだこ。このように、書くだけでなくプロデューサー的なこともやってみると面白いです。

首尾一貫した主張

2017年9月3日、宮内庁が秋篠宮眞子様の結婚を発表しました。

「本日、天皇陛下のご裁可をいただき、私たちの長女、秋篠宮眞子と小室圭さんとの婚約が内定いたしました。」

この48文字の文面を読んだときに、私は「婚約の撤回はできない」と確信しました。その理由は「ご裁可」という言葉にあります。

これは、「勅命。詔(みことのり)。天子の命令、またはその命令を直接に伝える国家の公文所として最高位の位置付け」という意味の言葉ですから、撤回しようがないのです。

私は、この件に関する記事を30回くらい書きましたが、いっていることは
①天皇陛下の裁可(許可)した結婚を撤回できるのか
②宮内庁のミスについてなぜいわないのか
③破談した時の際の考慮がない、漏えいリスクを考えているのか
の3つだけ。そのうえで、結婚するのが最善であるということをいい続けました。

先ほども登場したリッキーに聞き、ニューヨーク弁護士の資格取得の全貌をリアルタイムで伝えるなど、正しい情報を伝えようと考えていました。記事が炎上し、私に殺害予告が来るという事件もありましたが、首尾一貫しています。

時事問題に取り組む

4年前の中野区長選に4人が立候補し、中野サンプラザ解体見直し派の人が初当選しました。しかし、3カ月後にその公約を撤回し、「解体へ」と表明します。

中野区在住50年の私は、これを中止させるために、公開質問状を送付。回答内容、回答の有無を含めて公開することを通知し、最終的に全会派から回答を得ました。これを報告書にして5回に分けてニュースサイトに掲載すると、『噂の東京マガジン』など、メディアから声がかかり、話題となりました。

まとめ:継続的に掲載できるサイトで、量を書く

影響力を高めるには、大手よりも、継続的に掲載できるサイトを選ぶことが重要です。大手で1位とっても、それはメディアの力に過ぎません。一段落ちるところで書いて、アクセスを稼いだり評判になったりするほうが満足感は高い。また、オピニオンサイトの書き手は結果責任が伴うし、批判を食らうこともありますが、力をつけたいなら武者修行をする価値はあるでしょう。

そして、考えるよりも、まずは量を書くこと。世間の洗礼を浴び、2chで叩かれるくらいにならないと影響力は保持できません。さらに、時事問題や他人のPRに主体的に関わることで、実力がついてきます。

ネットニュースの売り込み方

ニュースサイトに誰も知り合いがいないとき、どうアプローチをすればいいでしょうか。私も、メールで片っ端からアプローチしたことがあります。

返信は1社もありませんでした。
そこで、内容を変えてもう一度アプローチしてみました。

これには3社から返信がありました。2000文字の原稿なんてあるわけないので、返信をもらってから急いで書く(笑)。こうやって扉が開いていきます。

大手である必要はないので、とにかく書きやすいところで書きましょう。最初は執筆フィーなども考えず、まずは「機会をもらえませんか」と伝えてみること。そうすることで扉が開き、量が増えれば勘所も強くなっていきます。


尾藤克之さんのイベント動画が視聴できます。
https://www.sanctuarybooks.jp/event_doga_shop/detail.html?id=349




尾藤克之

コラムニスト、著述家、明治大学客員研究員/議員秘書、外資系コンサルティング会社、IT系上場企業等の役員を経て現職。ライフワークとしてアスカ王国という障害者支援団体を運営しています。現在、複数のニュースサイトに投稿中。著書は19冊。詳しくはamazonプロフィールを参照のこと。https://amzn.to/3qAQaIl

※現在執筆中のサイトは以下になります。

東洋経済オンライン
https://bit.ly/3KjIMZY

オトナンサー
https://bit.ly/3zW08XN

J-castニュース
https://bit.ly/3qxQ2tr