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日本のビジネスが世界より10年遅れている理由

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ホームランしか狙わないAmazonの経営理念

『The Everything Store』 ジェフ・ベゾス(著)より

アマゾンを生み出した天才経営者ジェフ・べゾスはこう言います。
「私の人生は、大きな失敗の連続だ。ビジネスの巨大帝国を築いたことで有名かもしれないが、私は数々の失敗をしてきている。私がこの世に生み出した面白いこと、重要なこと、莫大な利益をもたらしたことは、すべて実験とミスと失敗の連続から生まれている(※3)

アマゾンは本の販売だけではなく、最新の電化製品からトイレットペーパーまであらゆるものが玄関先に届くインフラをはめ、キンドルやファイアTVスティック、エコーなど多くのものを発明し、成功させてきました。しかしベゾスからすれば成功例は氷山の一角で、それらは ファイア・フォンをはめとする無数の「水面下の失敗」によって支えられています。また一つ成功しても、そこで安定することは許さず、さ らに大胆な実験をはめるので、失敗のダメーはどんどん大きくなっています。それでも常時「ホームラン狙い」なので、当たったときに一気に挽回してお釣りがくるほどだと言うのです。

私たちはどうでしょうか。「そんなことかができたらすごい!」という発想からはめて、その実現に向けて、毎日どれだけの実験を繰り返すことができているでしょうか。

世界一恐れられる企業と呼ばれる理由

ベゾスは、自分が実現したいことを妨げるものがあれば、それが人間でも組織でも制度でも容赦なく排除していくそうです。アマゾンの幹部の一人は言います。「あなたがもしベゾスに丁重に扱われたとしたら、あなたは彼にとって『どうでもいい存在』と言うことだよ」(※4)と。

ベゾスが辛辣なフィードバックをするのは優秀な人材だけ。そのやり方こそが、人間の限界をこえる能力を引き出す最良の方法だと考えているのでしょう。争いや不和を好まない多くの日本人にとっては、受け入れにくいリーダー像かもしれません。しかしこの容赦のなさこそが、猛スピードで古い常識を壊す力になっているとは言えないでしょうか。周囲の機嫌を伺っていたら、物事を激変させることなどできないのです。

この世界にはいち早く「新しい考え方」を学んでいる人たちがいる

アメリカの自由な環境で戦うための、発想・方法・哲学はどこから生まれてくるのか。ヒントは、ニューヨークで読まれているビジネス書たちにちりばめられていました。
逆襲のビジネス教室』では、世界のビジネス一等地、ニューヨークのビジネスパーソンに愛読されている「ニューヨーク・タイムズ誌」で紹介されたベストセラーの中から、まだ日本語訳されていない「原書」を中心に、著者が衝撃を受けた50冊について日本人が取り入れやすい形にしてお伝えしています。

(※1)『No Rules Rules Netflix and the Culture of Reinvention』(Reed Hastings & Erin Meyer 著)より P7
(※2)『No Rules Rules Netflix and the Culture of Reinvention』(Reed Hastings & Erin Meyer 著)より P169
(※3)『Amazon Unbound: Jeff Bezos and the Invention of a Global Empire』(Brad Stone 著 ) より P1
(※4)『Amazon Unbound: Jeff Bezos and the Invention of a Global Empire』(Brad Stone 著 ) より P62

(画像提供:iStock.com/franckreporter)

この記事は、”逆襲のビジネス教室” 池田貴将(著) の新刊コラムです。


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これ以上、取り残されるな。日本は世界のビジネストレンドから10年遅れている?
海外の最新ビジネス書を原書で読んで盗み取った知恵とメソッド200。