新刊のコラム

いつものワインの価値をバク上げさせる チーズ10選

近年、コンビニや量販店でも品揃え豊富なワイン。そのまま飲んでも美味しいですが、「チーズの組み合わせ方によって、旨味が爆上がりする!」と、チーズプロフェッショナルの資格を持つ、ソムリエの小久保尊さんはいいます。鉄板の組み合わせをご紹介します。

近年、海外のチーズが安く輸入できるようになったことで、国内のチーズ消費量は増加の一途をたどっています。ワインに合わせると美味しいチーズですが、ではどのチーズが一番合うか、わかりますか?

答えは「ワインの種類による」。

世界中に、1000種類以上も存在するといわれているチーズのうち、日本人が認識しているのはわずか数%に過ぎません。
たとえば、「ヴァランセ」「シャウルス」「マンステール」。
聞いたことありますか?

「チーズなんてどれも一緒」といつも適当に選んでいる人はものすごく損をしています。重めの赤ワインに合うチーズと、軽めの白ワインに合うチーズは全く種類が違います。そして、鉄板の組み合わせを選べば、その味は何倍にも美味しくなるんです。鉄板の組み合わせを10通り、ご紹介します。

■鉄板その1
甘口の白×ロックフォール(青カビ)

甘口の白は、余裕があれば「貴腐ワインのソーテルヌ」という高級品にいってほしいです。最高峰の極上甘口でとろける最高峰のピリ辛青カビは、口の中を天上天下極上世界に塗り替えます。ただの天国です。合計5000円前後で得られる体験としてはなかなか。ワインがなければハチミツでも。

■鉄板その2
シードル×カマンベール・ド・ノルマンディ(白カビ)

どちらも上陸作戦でおなじみのノルマンディ生まれ。ワインじゃなくてシードルなのですが、「産地で合わせるとおいしい」の定番なので、ぜひ試してみてください。そもそも、りんごとカマンベールを一緒に食べること自体うまいですが、本気のカマンベールと、りんごから生まれるシードルやカルヴァドスを合わせると想像を超えます。

■鉄板その3
軽めの赤×パルミジャーノ・レッジャーノ(ハード)

軽めの赤ならなんでもいいのですが、特に「ランブルスコ」っていう、わりとどのお店でも買える赤のスパークリングがおすすめです。ジャリ旨味感のあるパルミジャーノを噛みしめながら、口にワインをさらーっと流し込むと、ミルクの花が咲き誇りすぎて、ゲラゲラゲラーっと笑いがこみ上げてきます。

■鉄板その4
軽めの白×ヴァランセ(シェーブル)

ワインは欲を言えばソーヴィニヨン・ブラン、さらに欲を言えば同じ産地の「サンセール」にいってほしいです。ヴァランセの絶妙な噛みごたえに〝フェチ〟っているうちに、酸味と酸味がぶつかって、筆者を2DKのアパートから、さわやかな草原世界へと連れ出してくれます。

■鉄板その5
シャンパン×シャウルス(白カビ)

どっちもシャンパーニュ地方で作られたもの。同じ地元同士、理屈ではなく合う感じをたしかめてほしいです。「クリーミー」と「発泡刺激」という、口の中で決して出会ってはいけないはずの2つが混ざり合い、頭の中が一回エラーを起こします。そしてしばらくすると、いつの間にか「愛」に変わってる。

■鉄板その6
こくのある白×マンステール(ウオッシュ)

こくのある白は、できればライチ感のある「ゲヴェルツトラミネール」と合わせてほしいです。ケバめのギャルメイクと、納豆のような熟成臭という、ドギツイ者同士が正面からぶつかり合うとどういうわけか、上品で洗練された味わいに化けるもんだから、非常に驚かされます。

■鉄板その7
ピノ・ノワールの赤×エポワス(ウオッシュ)

誰がなんと言おうと最強の組み合わせです。グルメさんたちの間では「ワインはブルゴーニュの、できればジュヴレ・シャンベルタンに限る」なんてよく言われているそうですが、そこまで高級ワインじゃなくても十分楽しめると、個人的には思います。心がどうにかなりそうなエポワスの破壊的な匂いを、ピノ・ノワールの薔薇の香りが包み込むと、(……あれ?)ってなりますよ。

■鉄板その8
ポートワイン×スティルトン(青カビ)

驚きは少なめですが、定番感があるというか、何回食べても飽きないです。スティルトンの強めの塩味と、それを包み込むアルコール強めのポートワイン。そこから生まれ出るまろやかな味わいが、なんだかんだいって筆者は個人的に一番好きかもしれません。ポートワインは開封してから1ヵ月以上もつので、自宅に常備しています。日常的に、ちょっと飲んで食べたいときにおすすめです。

■鉄板その9
ボジョレー・ヌーヴォー×モンドール(ウオッシュ)

秋に解禁になるワインと、秋においしくなる季節限定チーズということで、おなじみの鉄板です。ぶっ飛ぶような衝撃はないかもしれませんが、普通にめちゃくちゃおいしいです。ボジョレーがきっかけでワインが好きになった人もいるように、「風物メニュー」からは直接的な味とは別の幸福感を得られます。ちなみにモンドールは熟成が進んでいくと、スプーンですくって食べられるほど、トロットロになりやがります。

■鉄板10
重めの赤×ケソ・マンチェゴ(ハード)

ワインはできれば同じスペインのテンプラニーリョがおすすめです。力強い味同士がぶつかって、一瞬静かになったと思ったら、口の中がいきなり「濃厚」のエネルギーで満たされ、理性が弾き飛ばされます。ラーメンもジュースもアイスも、濃厚じゃなきゃダメ! という欲張りさんなら、きっと満足できると思います。

以上です。

この中には、なかなか売ってないものも、お財布事情に合わないものもあるかと思います。ただ、どれか1パターンでも〝鉄板〟を試していただけたら、きっと、チーズとワインの底しれぬ恐ろしさに気づいていただけると思います。

ここから先、さらに自分の好みに合う「奇跡のマリアージュ」を探す旅に出たければ、ぜひ拙著「図解 ワイン一年生 2時間目 チーズの授業」で奥深きチーズの世界を覗いてみてくさい。たくさん登場するチーズの種類も、擬人化したキャラクターたちのおかげで楽しく覚えることができます。

(画像提供:iStock.com/grafvision/Brasil2/MEDITERRANEAN/PicturePartners/vikif/nicolamargaret/_laurent/Alex Manzanares Muñoz)

図解 ワイン一年生 2時間目 チーズの授業” 小久保尊(著) 山田コロ(イラスト) の新刊コラムです。


図解 ワイン一年生 2時間目 チーズの授業 小久保尊(著) 山田コロ(イラスト)

図解 ワイン一年生 2時間目 チーズの授業

小久保尊(著) 山田コロ(イラスト)
1300円+税
詳しくはこちら
チーズのことを甘く見ているあなたへ
いつものワインを“神の一滴”に変える!
下町の人気ソムリエが教える世界一かんたんなワイン×チーズの教科書