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買い足しは一切不要!少し模様替えするだけでおしゃれな部屋に見せるコツ

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素敵なお部屋に憧れるけど、センスが無い、お金が無い。そんな理由で諦めていませんか?インテリアコーディネーターの荒井詩万さんは、「おしゃれな部屋を作るのにそれらは必要ない」と言います。誰でも簡単にマネできるコツを教えてもらいました。

入口の対角に何を置くかですべてが決まる

ワンルームだから、せまいから、賃貸だからと、部屋のことをあきらめモードになっていたら、それはとても損をしています。長年、個人邸のインテリアコーディネートをしている私が断言しましょう。あか抜けているかどうかは、住んでいる部屋の条件と関係ありません。それは、どんな部屋でも変えられる共通のルールがあるからです。

ひとつめは、もっとも大切なルールといっても過言ではありません。それは部屋の入口からの対角線を意識することです。部屋はドアを開けたときに、「まず何が見えるか」ですべての印象が決まります。ですから、部屋の入口から奥に向かう対角線を意識して、家具を配置したり、小物を置いたりしましょう。

なぜ対角線なのか?それは人の目線に答えが隠されています。たいていの部屋は四角。入口のドアの対角が、入口から見ていちばん遠い場所です。人はある空間に入ったとき、 無意識にいちばん遠い場所に目を向けるといわれています。 これは人間の本能で、ここは安心して過ごせる部屋なのかどうか、広さや状況を把握しているのです。なので、ぱっと目につくこのスペースしだいで、部屋のすべてが決まってしまいます。逆にいえば、ここさえきれいにしておけば、きちんとした部屋という印象が残るのです。ですからここには、部屋の主役になるモノを置いてみましょう。そして主役以外のモノは、対角線上からはずしましょう。
だいたいのお家ではこの対角線を意識しておらず、非常にもったいないことになっています。以前伺ったお宅では、リビングのドアを開けると、対角にぶらさがり健康器がありました。家族でくつろぐための部屋なのに、まるでスポーツジムのよう。

ぜひ一度、部屋の対角線上に何を置いているか思い出してください。
親からもらったあまり好みではない収納家具、引っ越しからそのままになっている段ボール、結婚前から使っているプラスチックのラック……主役級とはいい難いモノが、どんと占領していたら要注意です。「今さらどけるのは面倒」「そこにあることに慣れてしまった」と思うのも、ごもっとも。でも、それらを一度、対角線上からはずしてみると、部屋の雰囲気が変わるはずです。

対角線上からはずしたモノはどうするのか。それは視界に入らない死角に移動します。対角ではない隅やソファ脇などの死角は多少散らかっていても、目線に入りづらいので、そんなに気になりません。

じつは「片付けが苦手!」という人にも、このルールは朗報です。死角をうまく利用して、対角線上のモノを片付けてきれいにし、何を置くかを意識すると部屋がすっきりして見えます。無理して部屋全体を片付けようとしなくても大丈夫。急な来客時にも役立つ便利なルールです。

1ヶ所だけに目線を集めて見せ場をつくる

仕事柄、さまざまなお宅へ伺います。まず通されるのがリビングルームです。 今までの経験上、「なんか部屋がイマイチ。どうにかしたい!」と悩んでいる方の部屋の特徴は、ふたつあります。ひとつずつ見ていきましょう。

1 ごちゃごちゃした部屋

ひとつめのイマイチ部屋は、掃除しているのに、なぜか部屋がごちゃごちゃしている部屋です。たとえば、壁にはカラフルなドレス姿の子どもの写真や書道の作品、「いつからそこに?」というほど色あせたポスター。棚の上にはおみやげでもらったモノ、捨てられないブランド品のボックス。本や雑誌もあちこちにある。全国の地名入りちょうちんが、いろんなところに飾ってあるなんていうリビングもありました。

こんなふうに、いろんなモノがいろんなところに置いてあると、部屋に色があふれて、目がちかちかしてきます。また、目線が定まらずに〝どうも落ち着かない部屋〞になってしまうのです。どんなにきれいに掃除していても、です。

2 何か物足りない部屋

ふたつめのよくあるイマイチ部屋は、殺風景な部屋です。「モノを出しておくのがきらいなので、なんでも収納しています。そのせいか殺風景な部屋になってしまいます。」
そんなご相談もよくあります。実際にお家へ行ってみると、たしかに部屋は片付いているし、すっきりしている。でもなんだかさみい、なんだか物足りない。寒々しく感じることもあります。このように、きれいなのに、なぜか居心地のよくない部屋も多いです。

この〝ごちゃごちゃ〞と〝物足りない〞のふたつは、真逆のように見えて、共通点があります。それはどこを見たらいいのかわからない部屋になっている点です。だから目が泳いでしまい、落ち着かない気持ちになるのです。

解消するルールはとてもシンプル。それはどちらの部屋も、フォーカルポイント(見せ場)をつくること。それだけで部屋の印象が変わります。
フォーカルポイントとは〝目線を集める場所〞です。1ヶ所に目線を集中させることで、ほかの場所が多少ごちゃごちゃしていてもあまり気にならなくなります。1点にピントを合わせて、まわりをぼかす写真撮影のテクニックと同じです。また、どこを見たらいいのかわからない部屋の中で、見るべきモノがはっきりして安定感が出ます。

「すてきだなぁ」と感じるホテルやレストランには、きっとこのフォーカルポイントがあるはずです。入口の正面に大きな絵や花などが飾ってあり、まずそこに目線がいく配置になっていませんか?ファッションも同じです。上下グレーの服を着ていたらどうでしょう。すっきりとこぎれいですが、色味がなく地味な印象です。そこに赤いベルト、ゴールドのピアスやネックレスなど、何かアクセントになるモノをひとつ足すと、目線が定まります。これがおしゃれに見える仕組みです。フォーカルポイントの考え方と同じですね。

このように、部屋に1ヶ所、フォーカルポイント(見せ場)をつくってみましょう。 たとえばリビングなら、入口から対角のスペースがベスト。部屋のいちばん遠い場所に目線を集中させると、奥行きが強調されて部屋が広く感じますここに観葉植物や絵、写真を飾ってみましょう。

このほかに、はがせるウォールシールもおすすめ。動物や森をかたどったさまざまなモチーフのシールです。ネットや 100円ショップでも購入できますよ。
こんなふうに、まずは ヶ所でいいので、フォーカルポイントを「ここ!」と決めて、お気に入りを集結させてください。

(画像提供:iStock.com/maroke/KatarzynaBialasiewicz)

この記事は、”今あるもので「あか抜けた」部屋になる。” 荒井詩万(著) の新刊コラムです。



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