努力が報われるというのは、嘘だと思いませんか?/藤木美香

どんなに努力してがんばっても、しんどいのはなぜか? 21歳から完全歩合制の営業職で走り続けた藤木美香が成功と失敗を繰り返しながらたどり着いた、自己肯定感を大切にするための「がんばらない」失敗哲学とは。

がんばってもしんどい人生

サンタさんへ遠慮

まず、私の人生ではどんな失敗があったかをお伝えします。私は高卒です。進学校だったのですが、大学進学は経済的な理由であきらめました。親にお金がないと思い込んでいたのです。
小学生の頃にはサンタさんへのプレゼントのお願いは5000円以下で言おうと決めていました。サンタさんというか、親にです。いつサンタがいないと気が付いたのか覚えていませんが、5000円以上はねだれないと子ども心に思っていました。当時流行っていたスーパーファミコンがほしかったのですが、5000円以上したので言えませんでした。

その他にもいつも、多かれ少なかれお金に対して我慢がありました。大学進学といういちばん大きなお金がかかることもそうです。自分の進路もお金で我慢してしまった。
進学しなかったことが正解か失敗か、親のせいだとかいう話ではありません。実際に、そういう思いがあって進学しませんでした。

21歳で月収100万円達成

私は高卒で働きはじめたおかげで自営業にたどり着きました。21歳から完全歩合制で営業を始めたのです。小さい頃から自分でやる仕事に憧れがありました。

私は漫画家になりたかったのです。今ではほとんどの人に信じてもらえないですが、実は根暗なオタク少女でした。人と話すのが嫌いでうまくコミュニケーションが取れない子どもだったのです。
漫画家や小説家のように自分の内面を表現する仕事ならできるのではと思っていました。女優や歌手にも憧れて演劇も習っていたし、軽音楽部にも入っていました。けれども、そんなに才能がないし、女優になるほど美人でもないと自分でわかっていました。こうした業界は運も必要です。

けれど、営業は自分の力でお金が稼げるということに反応しました。歩合が付くとなるとやる気が出ました。自分の力で稼げるなら漫画家と一緒だ、と思ったのです。
世間知らずのまま超が付くブラック企業で愚直に働いて、10カ月目には月収100万円を達成しました。21歳のときですから、順風満帆であったと言えます。

けれどもここで、現金100万円を札束で初めてもらったので、当時の私は調子に乗ってしまいました。21歳からタクシーに乗っていました。素直に働いていましたが長時間労働でストレスばかりでした。
ストレスで手に入れたお金は、ストレス発散に消えていきました。経験のある人はたくさんいるのではないでしょうか。

ストレスでお金が消える

こうして数年間は、収入があったにも関わらず訳がわからないままお金が消えていきました。人にだまされたり、ショッピングでカードローンが溜まったりしていました。
私は典型的に男性にだまされるタイプでもありました。彼氏と思い込みたい人に貢いでしまい、そういう人にだまされて、同じ人に最高で400万円も持っていかれたことがあります。
25、6歳まで休まず働きましたが、このくらいのときにふと、ストレスが溜まりすぎて、「何で自分は、がんばっているのだろう」と思ってしまいました。お金のためにがんばってきたはずなのに。

私はわりと若いときに「何のためにがんばっているのかわからない」という状況になったので、ありがたいことに、今こうして気付けています。本当にしんどいところまで行き切ったのが早かったのです。
今思えば洗脳に近い状況でした。一日16時間、20時間と働いていました。寝ないと判断能力が鈍ります。ストレスを強いられつつ寝ていないので、自分の世界が狭くなっていました。
その世界から出られなくて、でもその世界を変えたらすべてが終わってしまう気がしていたのです。

独立を決意する

29歳までの8年間、同じブラック企業にいました。本当にエネルギーがなくなりかけて、29歳で何を思ったのか独立しました。
株式会社にしようと思い立ち株式会社リヴエイドを設立しました。人も雇い、事務所を構えて月の支払いが7、80万円ぐらいになりました。何が悲しくて、30歳の女性が月々80万もの支払いに追われないといけないのでしょうか。そう考えながら支払っていたので、地獄でした
しかもお金がなくて採算が合わないのに、なんとか支払っていた。1年間はどうにかがんばりました。

その後もボロボロな状態なのに、まだ元気がありました。あと少しがんばれば再起をかけれるのではないか、と努力をしようとしていました。
あきらめきれない。がんばりたい。なぜなら、人生をよくしたいから
その頃は大阪から東京に毎月のように来ていました。何か仕事を穫ろうと、Facebookを使って知り合った経営者さんを訪ねたりしていました。まったく稼げないことはないけれど、なんだかしんどいという状況が続きました。

エネルギーが切れる

そうして約2年半前、33歳のとき。人生で初めて、こんなエネルギッシュな私のエネルギーが切れてくれました。もう、一切がんばれなくなったのです。強制終了のようでした。
12年間がんばり続けて、もう人と会いたくなくなった。人と話したくなくなった。手も震える。それぐらい追いつめられました。
死ぬほどの勇気はありませんでしたが、自分の存在が消えてなくなればいいのにと思ったりしました。

33歳の誕生日に、祝ってくれる彼氏もいない、お金もない。こんなにがんばってきたのに、何もない。
結婚して子どもがいる同級生もたくさんいるのに、あまりにも何もなくて絶望してしまいました。
こんなに努力をしてきたのに、何をしていたんだろうと。怒り、むなしさ、自分の力の無さにあきれてしまい、3カ月間ほぼ引きこもっていました。

それでも、まだ少しはがんばっていて、大阪でも比較的いいところに住んで高い家賃も払っていました。けれど自分は自営業なので、お金も入ってこない。悲惨な現状でしたが、やっとここで開き直りました。
現状なんてどうでもいいと思い、お金がないのでカードを使って友人を訪ねてニューヨークとロスに遊びに行きました。現地に住む知人の元に2年後遊びに行くと以前約束をしていたので、あまり乗り気ではなかったのですが、義理堅い自分は約束のためにアメリカに飛んだのです。そうしたら、楽になりました。

現状なんてどうでもいい

これが、答えです。現状なんてどうでもいい、と本気で思ったら不安はなくなります
現状に犯されてしまうのです。たとえば借金の問題であれば、今月の支払いはなんとかなるけど、また来月同じ心配がある。
主婦の方だったら、離婚したら今後の生活はどうなるか。サロンの経営者であれば、今月は売り上げがあるけど来月は大丈夫か。

「今」ではなく、まだ起こっていない未来の不安ばかりを語っているのです。もしくは、過去にあったことを悔やむ。あのときあんな物を買って借金をつくっていなかったら、あの人と結婚していなかったら、子どもを産んでいなかったら。
人間は過去か未来にしか生きていません。そうやって、人間は過去を恨むか、未来に怯えるのか、どちらかしかしていないのです。言われてみると、思い当たる節はありませんか。

人間がいちばん生きることができないのが、現在です。現在の自分を大事にしていますか。普段の帰り道もこれから何を食べようかと考えませんか。明日の仕事の準備などをしていませんか。今日あった失敗を思い出していませんか。何年も前の失敗を思い出していませんか。

現状なんてどうでもいいと、私は伝えたい
特に私より世代が上の方たちは、固定概念に捕われている人ばかりだと思います。それを壊していかないといけません。
昭和の時代は、無からとにかくがんばらないと幸せが手に入らない時代でした。けれども、今は時代が変わったのです。

感情とものごとを切り離す

借金の裏側を知る

借金があるとかお金がないということは、自営業の人は往々にしてあることです。日本の大借金王といえばソフトバンクの孫社長です。14兆円まで有利子負債が膨れ上がっているそうです。事業を展開する上で借金とは良いことか悪いことか一概に言えません。
私の知り合いでも30億円の借金がある人もいます。そう考えると、300万円や400万円はちっぽけです。借金の裏側を知っておくと、悩みや不安は簡単に終わります

みなさんは、借金の片側しか見ていません。借金の片側は「借金しんどい」です。けれども、裏側もあります。陰と陽、光と影、男と女というように物事には必ずペアがあります。
借金はマイナスなこと。好きか嫌いかと問われたら誰もが「嫌い」です。けれども、借金の裏側、プラスがあるとしたら何でしょうか。
人から借りたのかもしれないし、銀行の借り入れやカードローンかもしれないけれど、あなたのことを信頼してくれているから貸してもらえる。本当に困窮している人は、そもそもカードローンですら貸してもらえません。借金の裏側には「信頼」があるのです

それを知ったら、借金の苦しみは終わります。次にやることは借金の金額を1円単位まで見ることです。こっちのカード、あっちのカードとある場合はすべてを足して1円単位までマイナスをはっきりさせる。
ここで落ち込まずに、これだけあるのだと認識して、あとは淡々と返してください。返せなくても責めなくていいです。自己破産という手段もあります。悪いことではありません。変な罪悪感を持ってはいけません。借金をしている自分はダメだと感情を付けていませんか。それは、勝手に自分が付けている感情です。

感情とものごとを別に切り離してほしいのです。1円単位まで借金を計算したら、こんなにあると落ち込むのではなくて、そのマイナスをきちんと認めて、私はこんなに借金をつくったのだから何かあったんだなと罪悪感を受け止めてあげることが大事です。
あとは、淡々と返していけば、いつのまにか消えていきます。借金があることで苦しい、と思う人は借金を返し終えても苦しいです。今苦しいのは、借金のせいではないのです。それにすり替えて、本当の問題を見ていないだけです。

がんばらなくていい

なぜ、がんばるのか

がんばっているのにうまくいかない、それはなぜか。
答えは、「みなさんががんばっているから」です。だから、苦しい。本当に好きなことは「がんばる」とはなりません。

みなさんも小さい頃は本当に好きなことがあったと思います。やめなさいと言われてもやってしまったことが、一つや二つ思い浮かぶはずです。そのときはがんばっていたでしょうか。やりたくて仕方がないこと、それが本当の自分の状態です。

けれども、大きくなると勉強しなさいと親に言われてやりたくないことをやらされる。ダメにするために知識を植え付けられているようなものなのです。学歴があるから悪いのではありません。知識があるから成功するとか、幸せになるということは別の話です。
勉強が好きな人はいいと思います。けれど、たいていの人はやりたくないことを小学校、中学校であまりにも経験していきます。やらないと、親に怒られます。
宿題しろ、勉強しろと、やりたくないことを当たり前にがんばることが続きます。そして、がんばったらほめられます。がんばることっていいことなんだと刷り込まれる。

みなさんは素直なので、がんばるとほめられて嬉しい。親や先生にほめられると嬉しいけれど、逆にがんばらないとほめられないと思ってしまうようになります。がんばらないとほめられない、がんばらないと自分は認められないと思ってしまう。ほとんどの人の原因が、この裏側のところです。ここが足を引っ張っているのです。

「がんばれば」から解放

「がんばれば」という呪文から自分を解放してあげることがまず第一です。がんばっているあなたも素敵だし、がんばっていないあなたも、両方素敵なんです。
本当は、どちらでもいい。やりたいことだったら、朝から晩まで働いてもいいのです。やりたいことしかやっていなかったら、がんばってはいません。私は今、気分が乗らなかったら働きません。
支払いがあっても関係ない。月の半分しか働きません。わがままと思われるかもしれないけれど、やりたくないのにやる理由は何でしょうか。私みたいに、やりたくないことはやらないと公言しても生きていけるのなら、どちらでもいいですよね。

職業に迷っていて、今後どういう職業を続けたらいいのか、とにかく将来が不安ですという方がいます。これは、職業の選び方が問題ではありません。本当の自分でいないから問題なのです。だから、迷うのです。
他の人から意見をもらわないと自分を立てられない。人の言うことを聞いてばかりで、自分はどこにいるのでしょうか。

他者ベースの視点を知る

こういう人は、他者ベースで生きていると言えます。
私たちは目があって、前しか見えません。自分自身は見えません。みなさんからは私の顔は見えます。私はみなさんを、みなさんは私のことをよく見ることができます。こうして他人の顔しか見ていないと、その反応しか見えないので、他者ベースで生きていることに気付かないのです。

自分自身はこんな人間です、と言える方はいるでしょうか。たとえば、好奇心がある人間です、という答えがあったとします。けれども2、3歳の子どもを隣に連れて来たら、どちらの好奇心が強いでしょうか。
なんだか自信がなくなって、大人の中で比べたらなどと説明がちになったりしませんか。結局は、誰かと比べて自分はこうですと言っているのがわかります。

人間は関係性の中で生きています。それを頼りにしているから、本当の自分を知ることがなかなかできません。関係性で自分を判断するということは、他者ベースです。
他者と比べてこうだ、と言っているのは、本当はそうではないかもしれない。関係性のトリックにはまっているということを知ってほしいと思います。

日本語はうまくできていると思うのですが、「自分」とは「自らを分ける」と書きます。自分を分けて考えないと、自分をわからない。自分自身は、自らをわけた、自らの身体です。
他者ベースで努力をすることをやめて、本当の自分の人生のためだけに、努力と根性を注いでほしいと思います。

 

(画像提供:iStock.com/RichVintage)

藤木美香 (ふじきみか)


株式会社リヴエイド 代表取締役
大阪在住。年に数回アメリカに行ってます。

21歳の頃から、フルコミッション(完全歩合制)の営業の世界に入り、トップセールスマンになる。
総額3億円以上の成果を出し、29歳の時に株式会社リヴエイドを設立。
営業講師や集客コンサルタントとして活動している。その中で、うわべやノウハウだけでは結果が伸び悩むということに気づく。
現在は自身の失敗の経験を元に、失敗するメカニズムを伝えるセミナーやセッションが人気を博している。
内面を変えることでビジネス、集客が劇的に好転していくサポートをしている。

運営サイト「営業アポ.com」 https://salesapo.com/

 

 


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