2018年は仮想通貨の確定申告元年! 税金と仮想通貨の義務教育/大河内薫

2017年の仮想通貨元年を受け、2018年は仮想通貨確定申告元年です。税理士・大河内薫が義務教育では語られない税金の話と、法制度が追いつかない仮想通貨と税金の話について個人的意見を交えて多いに語ります。

税金の義務教育

そもそも、税金とは?

皆さんは、そもそも税金とは何でしょうかと聞かれて即答できますか?
税金とは、日本政府を一企業と例えるならば、その売り上げです。税金がないと日本は倒産します。倒産しないまでも、サービスのクオリティーは落ちます。だから日本政府はなんとか税収を上げようと、消費税を増税しよう、富裕層から税金をもっと取ろうという話がどんどん出てくるのです。

日本のサービスとは、公共サービスです。医療、警察、ゴミ収集など、どれも大切なことです。日本は税金が高いとよく言われます。僕自身も高いなとは思いますが、海外に比べて日本は平和だと思うのはこういったところに税金がしっかり使われているからという一面もあります。
日本に住む以上は、税金はなくてはならないと認識してもらいたいです。その上で、税金に文句を言うのではなく、賢く節税しましょう。

税金と日本政府の闇

税金は義務教育、学校教育では語られません。税金という科目はないのです。皆さんにはその闇を感じてほしいと思います。税金は大事です。でも、義務教育では教えない。なぜでしょうか。
ここからは個人的な見解ですが、日本の税制は、戦後すぐにつくられた法律に継ぎはぎで追加をしてきた法律です。戦争直後はとにかく税収がほしかった時期で、日本政府は効率よく税収を得たかった。高度成長期前の話です。政府は考えました。どうやったら取れるかと。

義務教育で税金の大切さを教えて、税金を払ってもらおうと考えた人もいると思います。でも、日本政府は、税金をひた隠しにして無意識的に徴収するのがいちばん手っ取り早いと判断したのではないかと、僕は思っています。
それが色濃く出ているのが、源泉徴収制度です。サラリーマンの方は、お給料から所得税や社会保険などいろいろ抜かれていますよね。どれくらい抜かれているのか、正確に言える人はなかなかいないと思います。ここに闇があります。
義務教育、学校教育で語らないという洗脳教育です。税金について知らされないまま大学を卒業し、そして一生企業で勤め上げてもらえれば、国は定年退職まで税金を徴収することができます。サラリーマンから無意識的に税金を取るというのが日本の税制では色濃く残っていると思います。

一方で、個人事業主でも確定申告をしなくてはいけないことすら知らない人もいます。サラリーマンから無意識的に徴収することを選んだ弊害として、そうではない人が悪気なく納税をおろそかにしてしまっている現状があるのではないでしょうか。
僕自身はそういう方たちに、納税は大切なのだから賢く納税していこうと発信していきたいと思っています。

ご自身の源泉徴収票があればご覧になってください。とても見づらいです。縦計も横計も合っていません。税率ももちろん書いていない。
何より衝撃的なのは、そもそも自分の支払う税金総額が一覧になっている書類がないことです。源泉徴収票には所得税しか書いてありません。住民税は別です。
この日本には自分が支払う税金が一覧になっている書類がないのです。これはブラックボックスだと僕は思います。

各種税金の基礎知識

源泉所得税=年末調整のセルフチェックを

ここからは主要な税金について、お話します。毎月給料から天引きされるのが、源泉所得税です。年収を12分割して、ざっくりと少し多めに引いています。
そして、年末調整があります。年末調整をすると基本的には所得税が返ってきます。逆に、例えば「書類の提出が遅れたので会社で年末調整しません」という場合は、税金の清算が完了していないので過納付または納付不足になります。
年末調整をしておらず納付不足の場合は、絶対に確定申告をしなくてはいけなくなります。知らなかったから申告をしていない、知っているけど嫌だからしていない、どちらも脱税になります。

サラリーマンの方はぜひ、年末調整を源泉徴収票でセルフチェックしてください。ちなみに僕はこれまで2回ほど間違えられた経験があります。
どうやったらセルフチェックできるのかというと、国税庁のホームページに確定申告書をつくるソフトがあります。そこに源泉徴収票の内容を入力して、最後に納付額ゼロとなるとOKです。もし、プラスかマイナスになったら、そのまま確定申告をするべきです。
そして、会社にも確認をしてください。年末調整の計算は企業が間違えることは普通にあるので、自分を守る意味でも大切なことだと思います。知っておくだけで、損をしたり悪気なく法律を違反することがなくなります。

申告所得税=確定申告を忘れずに

次は、申告所得税です。課税所得に対して課税されます。サラリーマンは年末調整で勝手に完了しますが、個人事業主の人、またはサラリーマンでお給料以外の副業収入がある人たちなどは、自分で確定申告をして納税する必要があります。
ただ、大学を卒業していきなりフリーランスになり、これを知らないままやり過ごしている方もいます。もしそういう人が近くにいたら、税金とはこういうものだから、近くの税務署にでも相談にいくといいよとぜひ声を掛けてあげてほしいと思います。
源泉所得税も申告所得税も、最終的な計算方法は一緒です。日本は累進課税なので、稼げば稼ぐほど税率が上がります。これは日本だけではなく諸外国にもある制度です。下は5%から上は45%まで、課税所得に対して課税されます。

申告所得税の期限ですが、これは当年分を翌年の3月15日に納税、申告期限も3月15日です。納付期限も、3月15日。2017年の税金を申告したいなら、2018年の2月16日から3月15日までに申告する。納期限も3月15日なのですが、口座引き落としの手続きをしておくと4月20日前後に延びます。これを振替納税といいます。キャッシュフローが良くなるのでおすすめです。

個人住民税=6月に遅れて請求が届く

次は、個人住民税についてです。これまでは、所得税の話でした。源泉徴収票には住民税が記載されていません。住民税は、所得税の課税所得とほぼ一緒の金額に税率を掛けます。自治体によって多少異なりますが、個人の住民税は一律で10%です。申告納税方式なので、所得税の確定申告をしたら完了します。サラリーマンは年末調整が適切に行われれば、その情報が自治体に届いて住民税の計算が完了します。

個人事業主は所得税の確定申告をすると、住民税について翌年の6月に一括納付もしくは、6、8、10、1月に4分割納付する書類が送られてきます。2017年の分の所得税を2018年3月15日までに確定申告すると、2018年6月に遅れて住民税の書類が届きます。
ですから、所得税で終わりだと思っていると住民税の多額の請求が後から届きます。一律10%は結構大きな額です。所得税が5%の人なら、住民税はその倍ですから。こうしたキャッシュフローは知っておかないと、事業が健全に回っていきません。

個人事業税=290万円ラインを知る

次は、個人事業税、これも一定の課税所得に対して課税されます。所得税・住民税よりは優遇されています。サラリーマンは掛かりませんから安心してください。ただ、副業している方は掛かる可能性があります。売り上げ引く経費が290万円以下なら免税となります。
このラインを知っていて、確定申告で経費を詰め込む人がいます。それはある意味では正しい選択です。経費の妥当性は別として、知っているからこそできることです。

事業税も住民税と同様に、所得税の確定申告をしたら勝手に請求されます。当年分を8月と11月に納付。2017年の確定申告が3月に終わって、6月に住民税を払ったと思ったら、8月と11月にまた払わないといけない。一年中納税をしている気持ちになります。個人事業主をしている人はこのサイクルを知っておいてほしいと思います。

消費税=消費税貯金で自衛

消費税の存在は、知らない人はいません。国への納税義務がどんな人に発生するのかというと、売り上げ1000万円を超えた翌々年に納税義務発生となります。これは法人も個人も同じなのですが、日本で発生した売上、課税売上が2017年に1000万円を超えたら、2019年に納税義務が発生するということです。2019年の分を翌年2020年の3月31日までに納付する必要があります。
個人事業主をしている人、サラリーマンで副業をしている人で1000万円というのはなかなかいかない金額なので、消費税は関係ないという人も多いと思いますが、知っておいて損はありません。

※仮想通貨の売却益は消費税が非課税なので、納税義務は発生しません。

確定申告の基礎知識

最終提出物は確定申告書と決算書の2つ

サラリーマンは年末調整が完了してれば、確定申告は必要ありません。副業をしている人、もしくは個人事業主、フリーランスの人が必要になります。
2017年分を2018年2月16日から3月15日までに申告します。最終的な提出物は、確定申告書と決算書の2つ。領収書や仮想通貨の取引履歴などは添付する必要がありません。

決算書とは売上と経費と利益を記載したもの、確定申告書は売上引く経費から基礎控除などを引いた税金計算を記載したものです。月別売上、経費科目別合計、社会保険など支払ったものの控除証明などが必要です。
それらをご自身で会計ソフトまたはエクセルでまとめると、それが決算書になります。そして決算書を元に確定申告書を作成します。

確定申告書をつくる選択肢としては、税務署の職員の方に決算書までできたので確定申告書を一緒につくってくださいと言うか、国税庁のホームページに作成ソフトがあるのでそれを使う。推奨は国税庁のホームページです。

覚えていてほしいのは、自分の税率レンジと経費の関係です。所得税が5%なら、1万円の経費で500円の節税になります。所得税20%、住民税10%なら、1万円で3000円の節税になります。
そうすると、1万円の領収書は3000円札になります。こう思うと領収書にも愛着が湧きます。領収書を溜めるのが面倒ということもなくなると思います。

仮想通貨の義務教育

仮想通貨とは

仮想通貨とは法定通貨=円に対して、仮想通貨です。英語では Cryptocurrency = 暗号通貨と言います。中央集権的な通貨に対して、非中央集権的な通貨です。円は日本政府が発行して、日本政府が責任を持っている通貨です。それに対して、仮想通貨は誰も管理していない、とは言い過ぎですが、誰かが中心となっているものではありません。

そして仮想通貨は、インターネット上にあるデジタルな通貨です。でも、僕からしたら銀行もそうだと思います。銀行にお金を預けるといっても、金庫に紙幣を預けるわけではありません。銀行のお金もほぼデジタル通貨と言えます。ですから、仮想通貨とはつまり、非中央集権的なところが最大の特徴なのです。

仮想通貨を下支えするブロックチェーン

仮想通貨はブロックチェーンという素晴らしいテクノロジーによって支えられている通貨です。コインチェックがハッキングされたことによって、ネガティブイメージが先行していますが、ある意味で認知はされました。果たして仮想通貨は、このまま終わるのでしょうか。ネット、ブログ、ツイッター、スマホもリリース当初は全て、一般人には関係ないと言われたものでした。しかし、結果はご覧のとおりです。スマホもネットもなくてはならない存在ですよね。

仮想通貨も一般人には関係ないと言われています。けれど、僕は関係があると思っています。なぜならテクノロジーだからです。仮想通貨は通貨の部分だけをとると、安く買って高く売ったら利益が出るという話になります。しかし、それを下支えしているテクノロジーがあります。インターネットが世界に認知されて使われたのと一緒で、仮想通貨周りのテクノロジーは使われていくのではないかというのが僕の意見です。

2018年は仮想通貨確定申告元年

2016年12月30日、一昨年の大晦日前日に日本経済新聞の見開き2頁で掲載されたビットフライヤーの広告を覚えている方はいるでしょうか。「仮想通貨元年」と大きく書かれていました。
そして、見事に2017年は仮想通貨元年になりました。2017年にビットコインは5万円ぐらいから始まって、200万円になり、150万円ぐらいに着地しました。

2017年が仮想通貨元年ということは、2017年の仮想通貨で得た利益は2018年の3月15日までに確定申告をしなくてはなりません。そうすると、2018年は「仮想通貨確定申告元年」になります。これは結構衝撃的なことで、国も投資家もてんてこ舞いなのです。では、どうしたらよいのか。これは頑張って申告をするしかありません。

コツは履歴の全部取得と自分ルールの徹底

仮想通貨の確定申告におけるコツは履歴を全部取得するしかありません。海外取引所などで難しいところもありますが、頑張って英語でメールなどをして取得する努力はしましょう。

取得価格は都度計算が理想です。「平均取得価格」というのもあります。例えば、10万円、20万円、30万円でそれぞれ同じ枚数仕入れたとします。その平均は20万円になります。その取得価格と売った時の価格との差額が利益なので、都度計算をするのが理想です。

2017年に取得価格を都度計算している人はほとんどいません。その場合は「総平均法」というのがあります。例えば、2017年でビットコインを10回買いました、枚数は毎回違います。全部足して、今持っている枚数で全部割って、平均取得価格ではなく年間の総平均取得価格を出す。そして、1月から12月までで売ったものとの差額とで計算していく。これもOKと国が言っています。

これは世に出ていないコツですが、自分ルールをつくって、継続的に使ってください。税務調査があればいろいろと指摘されるでしょう。けれど現行法で考えられるなかで理論的に計算をしていれば話し合いになります。
特に今年に限っては、ルールがないのが大切なポイントです。ですからレートは終値、中間省略は利確扱いとしないなど、自分ルールをつくります。
そしてそのルールを継続して計算に使います。いろいろな取引所からレートを取ったら、利益操作をしているのでは? という目で見られるかもしれません。いつもは終値を使って計算していたのに、一時的に日平均を使ったら疑われますよね。

ハッキングこそされましたが、取扱い通貨の毎日の終値を一覧で出してくれたのはコインチェックさんが最初でした。これは非常に見やすいです。ですから「自分はどの取引所で売買をしてもコインチェックのレートを使っている。買った瞬間の価格ではなくて、終値を使っている」というのもアリだと思います。継続して適用するのであれば、そこに利益操作の余地はありませんから。
また、ビットコインでは買えない仮想通貨がほしいときに、複数の通貨を経由することがあります。厳密には経由した瞬間瞬間に利確が発生していますが、一日のうちにビットコインから買いたい通貨までの取引が終わっているなら、中間にある取引は省略をしていいと思います。自分ルールを徹底すると、処理がだいぶ楽になりますよ。

 

(画像提供:iStock.com/Natali_Mis)

大河内 薫(おおこうち かおる)


株式会社ArtBiz 代表取締役。税理士。
日本大学芸術学部出身。
税理士としての主なクライアントは、芸術/芸能/クリエイター系かIT系が中心。仮想通貨にも強い。
月に一度はメディアから取材され、月に一回は大学の授業やイベントに登壇をする。
Twitterのフォロワー数はアカウント2つ合計で25,000人超。
SNSとブログやメディアをフル活用する、新時代の税理士。テレビ進出も狙っている。

 

 


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