「私のやりたいことって何?」を見つける人生のカウンセリング/猪熊真理子

自分のやりたいことがわからないと悩む3000人以上の女性に、働き方や起業などのアドバイスを行ってきた猪熊真理子さん。
そこで今回、読者の方の中から抽選で、猪熊さんによる個別カウンセリングにご招待。その様子をリポートしました。

~カウンセリング体験者プロフィール~
すみれさん
東京都在住の25歳。
仕事はweb系の編集・ライティング。
自分が病気になった経験を活かして、人の心に寄り添えるコンテンツを作りたいと考えている。

私らしく働くってどういうこと?

猪熊真理子(以下、真理子):私の本を読んで下さってありがとうございます。

すみれ:私は以前、体調を崩して働けなくなってしまった期間がありました。休職している間、体を治すのが大変だったのはもちろんですが、復職の条件が「すぐに週5日フルタイムで働けること」だったのです。周りの方にはご迷惑をおかけしましたが、医師との相談の上で退職を選びました。そのとき、一度レールを外れた人間が、社会に戻るってすごく大変なことだと痛感したんです。

この体験から、「ハンディキャップを抱えた人や、社会のレールにうまく乗れなくて息苦しさを感じている人が、堂々と生きられるような環境づくりをサポートしたい」というのが、自分の中での1つの軸となりました。

そして、社会復帰のリハビリとして編集者やライターを養成する講座に参加したことがきっかけで、言葉や文章でその想いを発信していくという目標ができました。

真理子さんの本を読んでから、「自分の強み」や「自分らしさ」を組み合わせたとき、それが「私らしい仕事」になると知りました。でも、ここ1年くらい先にお話したような軸で行動を起こしているのですが、なかなか上手くいかなくて。

真理子:なるほど。今はどんな仕事をしているんですか?

すみれ:現在は、いったん自分の志からは離れて、企業でライターとして働いています。
経験を積ませてもらえてありがたい一方で、やはりスピードやキャッチーさが最優先なので、いろいろな心の葛藤に苦しむことが多いです。

 

「やりたいこと」には2種類ある

真理子:いろいろな方を見ていて、自分の「やりたいこと」を見つけるときには、実は2つのアプローチがあるなと思います。

たとえばここに太陽があったとき、暗い部分はネガティブなものからのアプローチ。自分がつらかった経験から、それを解消したいとか、人を救いたいと思って「Will」(自分のやりたいこと)を見つけるケース。

一方、明るい部分はポジティブなものからのアプローチ。自分が純粋にワクワクするものを膨らませて「Will」になるケース。

まずは、この両方の側面からやりたいことを考えてみるのがおすすめです。実はどんな人にも両方の側面があって、自分の考えやすい方(思考の癖)にばかり偏って考えてしまいがちになるのですが、一度客観的に自分のやりたいことを両側面から見つめ直すと、もっと本当にやりたいことが見えてきます。

すみれさんの場合、今はこの暗い部分であるつらい経験が、今の仕事の価値観のきっかけになっているけれど、自分が考えただけでドキドキする好きなことってありますか?

すみれ:音楽や写真ですね。昔から感情を出すのは苦手なのですが、文章を書くこととか表現するのは大好きです。

真理子:その中でも、書くことは一生の仕事にしたいんですよね。

すみれ:そうですね。以前、困難を克服した人の記事を書いたのですが、何年もたっていたのに、その記事を読んだ人から連絡がきて、自分の熱が時間を超えて人の心に届いているのを感じて嬉しかったんです。
だから、今の商業用の文章を書く仕事に対しては、無意識のうちに抵抗を感じてしまう部分もあります。

真理子:自分の現実と理想への道って、最短距離ばかりじゃないですよね。今の自分にはできることと、できないことがあって、それを身につけるために、何かを経験するって、すごくいいことです。もちろん商業的な文章を書くスキルもそう。
仕事でもプライベートでも、これまでにない経験をたくさんすることで、自分に新しい視点が足されていきます。自分では気づいていなくても、実は理想へ一歩近づくための道になっているし、理想がいつの間にか、変わっている場合もあります。

 

自分の口から出た言葉が、本当に「やりたいこと」とはかぎらない

大切なのは、今自分に足りないものを得るために、どんな経験をしていくかを自覚することです。ただ経験を積むのではなく、「やりたいこと(Will)」に近づくような「やれること(Can)」の経験を積み重ねていく。もっとWillを引き出すために、もう少しすみれさんの理想を広げてみましょうか。

すみれ:最初は理想だけが先走って「編集やライティングに携われるなら、どんな仕事でもいい!」と思っていました。もちろん今もその気持ちは忘れたくないですが、たとえばフリーランスとして仕事をするときなど、報酬面での現実を知ることもありますよね。いろいろなことが見えはじめると、理想だけでは突き進めなくなってしまって「結局何がしたいんだろう?」と中途半端な自分が嫌になります。 

真理子:無理矢理、「自分はこうだから」と思い込んでいるかもしれないですよね。私たちって自分自身のことになると特に、「自分の理想はこう!」とガチガチに思い込んでしまうことがあるので。
私がすみれさんと話していて感じたのは、すみれさんの中には伝えたいイメージがたくさんあって、伝える手段としてたまたま言葉があっただけで、必ずしも言葉じゃなくてもいいのかもと思ったんですね。元々はけっこうイメージで捉えたり、考えたりすることが好きなんじゃないかなと。

すみれ:たしかに、思考メインのアウトプットより、感じたままに表現するほうが得意です(笑)。それでも書く仕事に魅力を感じたのは、自分自身が体を壊して外に出られなかったとき、たくさんの本の中の言葉に救われたからだと思います。

真理子:好きなことを趣味ではなくて、きちんと仕事にしていくには、どこかの部分で、誰にも負けないものを極めて「プロフェッショナル」にならなきゃいけないですよね。「プロフェッショナル」である限り、とことん極めて、磨き上げていかなければならない。そういう専門的なものって、「たったひとつしかない」と思いがちなんですが、それはひとつじゃないかもしれない。今はまだ絞る段階じゃなくて、広げていく段階かもしれないですよ。一見、自分の興味のあるものと関係なさそうなことでも、まずは経験をしてみるのはどうでしょう。何が自分のアンテナにひっかかるか、興味を分散させてみる。でも全部はできないから、取捨選択が必要ですよね。

どれが自分の本当に突き詰めたいものか、それを見たときに自分が感化されるものだけを選び取っていったとき、見えてくるかもしれません。

すみれさんも、今は言葉ひとつだけに絞らずに、もっと色々興味を広げていい時期なんじゃないかな。

すみれ:うーん……今までのお話や条件を全てとっぱらった上で、純粋にわくわくできるものは何かと聞かれたら、私にとってそれは歌手の椎名林檎さんなんです。彼女が生み出す歌詞はもちろん、表現の美学や生き方にすごく共感できるし、生まれ変わったらこの人になりたいって思うほど。でも、自分が何をやりたいか聞かれたとき、いきなり椎名林檎って出てこないものですね(笑)。

真理子:大人になると、聞こえのいい言葉や「人からどう見えるのか」が気になって自分の本心をくるんでしまうんですよね。でも、必ず最初に出てくる言葉が、自分が本当に望んでいることとは限らないんです。
人間ってクセがつきやすい生き物。たとえば、一度萎縮したり「失敗したくない」という思考のクセがついてしまうと、「完璧にできないとやってはいけない」と思い込んで、小さなTRYをする勇気を失ってしまい、自分で自分に制限をかけてしまいます。

 

自分に向いているベクトルを、外に向けてみる

すみれ:ちょっと前までは「こういう人になりたい!」「こんな仕事がしたい!」と感じることが多かったのですが、最近は現実を見てすぐに諦めてしまい、どんどん自分の殻に閉じこもっています。

真理子:ベクトル(気持ちの矢印)が自分に向きがちな時期ってありますよね。本来この気持ちの矢印って、内向的になったり、外交的になったり行ったり来たりしなきゃいけないんですよね。人に会ったり話を聞くとき、ベクトルは外にどんどん発散していきます。もちろんベクトルが外ばかりでも、自分が空洞化してしまうので、自分自身について内省するようなインプットと深耕の時間も必要。
でも今のすみれさんは、自分へ向かうベクトルの割合が多いから、どんどん自分がちっぽけな存在な気がしてきて、萎縮しちゃうんですね。今はまだまだ膨らましていい時期。好奇心とか、自分の感性に響くもの、昔から興味があったけど取り組めていなかった事に、目を向けてみるタイミングがきていると思います。

すみれ:たしかに、最近自分によくベクトルは向きがちです。もともと人からどう思われているか気にしてしまうのがクセなんです。昔は親からの目が気になっていたのが、今は会社の人とか、友達とか、世間一般とか…。

真理子:すみれさんは本来、じっくり考えるより、直感タイプだと思うんです。でもその気持ちにフタをしてしまっている状態だから、自分の直感を無視してしまっているのかもしれません。まずは「自分の直感に従う」って決めるのがいいかもしれないですね。コツは期間を決めてみること。たとえば、この3カ月は自分が本当に着たい服を着る、食べたいものを食べる、みたいに、自分がインスピレーションがわくものに忠実に行動してみるんです。多分自分の中に変化が起きて、殻をやぶれると思います。

すみれ:たしかに今までも、「自分がこれやりたい!」って思うことに突っ走っているときが、一番直感が冴えていて、楽しかったです! 期間を決めちゃえば私にもすぐにできそう。

真理子:自分が夢中なもの、面白くてしかたないものに没頭するのがすみれさんらしいと思います。今はまず、それを探す期間だと割り切ってしまいましょう。
人間はクセや習慣に弱いので、かなり強く意識しないと、元の自分の思考のクセにすぐ戻っちゃうので。
ライターという軸はもちろん持ちつつ、それ以外にもどんどん興味を広げていいと思います。

すみれ:私って何か目標があるときは、実現に向けて全力で走れるんですが、それがないと死んだ魚のようになってしまうんです(笑)。こんなに明確な目標がない期間が久しぶりでずっと焦っていたのですが、そう言われると気持ちがラクになります。

真理子:この半年は、今までしてないことをするキャンペーン期間にしちゃうのがおすすめですよ。最近食べてないから「焼き肉行こう!」くらい小さいことでいいんです(笑)。あとは、やってみたいことは、どんどん口に出すのがいいですよ。

 

「自分らしさ」を探し続けることが、人生

すみれ:よく人に悩みを相談すると、その人ごとに軸って違うから、混乱することがあります。かといって、自分のアタマの中で考えても堂々巡りで…。なにか、自分自身で考えを整理する方法があったらいいなと思うのですが、真理子さんは悩みをどうやって解決していますか?

真理子:私がよくやるワークは、1年後の自分がどうなっていたいか、付せんに書き出しています。仕事もプライベートも全部客観的に見れるから、自分が人生において何を一番優先したいと思っているかわかるんです。
でもやっぱり一番いいのは、信頼できる友人やメンターとしゃべること。
ポイントは、解決してもらうと思わないことです。みんなそれぞれいろんなことを言ってくれると思うので、全部鵜呑みにするんじゃなくて、ヒントにするんです。

ワークは客観視できるメリットがあるけど、自分の視点からは逸脱できない。でもそもそも自分の視点って大体偏っているから、人の視点をたくさん取り込むことが大切なんじゃないかな。

すみれ:自分の周りに、ビジネスをバリバリやっている人や意思の強い人が多くて、真理子さんと話すまで、自分もそういうの見つけなきゃ、何か結果を出さなきゃって焦っていました。意固地になっていたくらい(笑)。でもまずは自分を開放して、なんでも取り込もうくらいの気持ちがいいってことですよね。

真理子:そうそう。それに、違う人にどんなに憧れても、その人にはなれないんです。別の人間だから。「この憧れの人になれない自分は、どうなっていきたいか?」ということを考えて、割り切って、断ち切っていくことが、自分の軸になることもあります。

それに何歳になったって、みんな「自分らしさ」を探しているんですよね。それが人生なんだと思います。
もちろんそのときの仕事や環境によっても、「らしさ」は変化していきます
が、自分の心に忠実に生きてくことは絶対条件です。
焦るとつい、自分が何をするかとか、アウトプットにこだわりがちですが、すみれさんの心に忠実にあり続けることが何よりも大切ですよ。

~カウンセリングを終えて~
すみれ:真理子さんに相談したことで、自分の中での「こうでなきゃ!」という思い込みがスッと軽くなっていき、心がラクになりました。相談できて本当に良かったです! ありがとうございました。

(画像提供:iStock.com/KatarzynaBialasiewicz)

この記事は、”「私らしさ」のつくりかた” 猪熊真理子(著)の新刊コラムです。


「私らしさ」のつくりかた

猪熊真理子(著)
1,250円+税
詳しくはこちら
3000人以上の女性たちを支援してきた気鋭の若手起業家、初の著書!
何者でもなかった私が、好きな仕事で1000人のファンをつくるまで。